ネベンジャ大使は安保理の会合で、「これら二カ国の指導部によって行われた、完全に無責任な声明はそれ以外に解釈しようがない」と発言した。国連大使はゼレンスキー大統領が自国のミサイルがポーランドに向けて発射されたことを知りながらロシアを非難したと指摘した。そのうえで、「これは計画的デマで、意識的なもの」であり、ロシアとNATOの直接的対決を誘導しようとしたものに他ならないと指摘した。
ウクライナの地対空ミサイルがこうした事故を起こすことは先にも例があり、2001年10月には黒海での軍事演習中にロシアの民間機がウクライナの防空ミサイルによって撃ち落とされ、78人が犠牲となった。この機体はイスラエルのテルアビブからロシアのノボシビルスクへと向かっていたものだった。
またロシア側に責任を押し付けようとする西側の試みに対して、ウクライナ危機の根本的原因は2014年に用意されたクーデターに端を発すると主張した。
「西側の一部の国々が直接的に関与する形で生じた、憲法に反する血塗られたクーデターが発生してなければ、我々は今の場所にいなかっただろうということを改めて強調したい」
先にゼレンスキー大統領はロシア側がNATOを攻撃したと主張し、集団的自衛権を行使する必要性をNATOに訴えていた。
先にポーランド・メディアは、2発の「ミサイル」がポーランド東部ルブリン県に着弾したと報じていた。これにより民間人、2人の死亡が明らかになっている。ルブリン県はウクライナ、ベラルーシと接している。ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は先にいかなる主体が「ミサイル」を発射したかを示す証拠は確認されなかったと表明していた。
軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏がリアノーボスチ通信の取材で発言したところによると、今回の事態はウクライナ側が発射した旧ソ連製S300ミサイルによる爆発の可能性が高いという。ウクライナ軍の発射した弾道ミサイルが居住区に着弾する事態はこれまでにも多数確認されている。
米国防総省はこの事態を受け、事実確認を進めている。事実確認が完了するまでNATO第5条(集団自衛)について言及する時ではないと公式に表明している。
なおホワイトハウスのアンドリアン・ワトソン国家安全保障会議(NSC)報道官はミサイルについて、ウクライナ軍が発射した可能性が極めて高いと認めたうえで、調査結果が如何なるものになるとしても、ウクライナには自衛権があることから、ポーランドで起こったミサイル事故の責任はロシア側にあると主張している。
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