日中防衛当局間「ホットライン」 来年春に開設 露米、印パなど世界で運用

日本の林芳正外相は29日、日本と中国の防衛当局間のホットラインについて、来年春頃にも運用を開始することで中国側と調整を進めていると明らかにした。ホットラインは今月の日中首脳会談で早期開設で合意しており、実現すれば尖閣諸島や台湾をめぐる問題で緊張が高まっている日中の、偶発的衝突の回避などに寄与する。
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外務省によると、林外相は記者会見で次のように述べている。

「日中首脳会談で首脳間で早期運用で一致した防衛当局間のホットラインについて、2023年春頃の運用開始を予定している。日中防衛当局間の信頼醸成や不測事態の回避を図る上で極めて重要だ」

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日中間の緊張をめぐっては、日本が実効支配し中国が領有権を主張する尖閣諸島周辺の海域で、中国公船による断続的な活動がみられる。この海域では2010年、操業していた中国漁船が日本の海上保安庁の巡視艦に衝突する事件が発生し、外交問題にも発展した。
また、今年8月のナンシー・ペロシ米下院議長の訪台後、中国が台湾周辺で行った大規模な軍事演習で、中国軍の発射したミサイルが日本の排他的経済水域に落下したとして日本側は抗議している。
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偶発的衝突回避や意思疎通のための国家間のホットラインはさまざまなものがあるが、最も有名なものの一つがロシアと米国の首脳間ホットラインだ。
これは1963年、キューバ危機後の緊張緩和の流れのなかで当時のソ連と米国によって設置された。1962年秋のキューバ危機ではフルシチョフ書記長からケネディ大統領にあてられた3000語の書簡の解読に、12時間を要したことを受け、冷戦下の偶発的事案の回避や意思疎通の円滑化を図るために、翌年6月に首脳間の直接ホットラインを設置する協定を交わした。ソ連崩壊後はロシアに受け継がれている。
このほかにも米中防衛当局間のホットラインや、ともに核保有国のインド・パキスタンの外相間のホットラインなどがある。
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