産経新聞によると、今後5年間の防衛費をめぐっては、防衛省が現行の中期防衛力整備計画にある約27.4兆円から1.7倍の48兆円が必要と主張。一方、財政規律を重視する防衛省は30兆円台なかばに圧縮したい考えを示していたという。
北朝鮮の相次ぐミサイル発射や尖閣諸島周辺の中国の活動激化などで日本をめぐる安全保障環境が厳しさを増すなか、岸田政権はこれまでに今後5年間で防衛力の抜本的強化と防衛費の国内総生産(GDP)の2パーセントまでの引き上げの方針を表明。8月に明らかになった防衛省の2023年度予算概算要求は過去最大の約5兆6000億円となっている。
自民・公明の連立与党は2日、日本国外の領域でミサイル発射を阻止する反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有することで合意。長距離ミサイルの開発や導入も進んでいる。また、3日には陸上自衛隊で沖縄県の防衛・警備を担当し、那覇駐屯地に拠点を置く第15旅団の機能を強化し、大規模部隊とする方向で検討していることも報じられている。
沖縄の陸自部隊強化について玉城デニー知事は5日、既存の米軍受け入れの負担に積み重なる「過重な負担」だとして不満を示した。NHKは玉城知事の言葉を次のように伝えている。
「アメリカ軍の過重な負担に加え、さらに自衛隊の能力を強化することは、過重な負担が増えるということだ。自衛隊が態勢を強化するのであれば、当然、その分のアメリカ軍の負担の比重は軽くするべきだ」
日本の防衛力強化をめぐってはこれまでに、「安全保障のジレンマ」に陥り、軍拡競争や地域の不安定化の要因にもつながると指摘されていた。
安全保障のジレンマ
軍備増強や同盟締結など自国の安全を高めようと意図した国家の行動が、別の国家に類似の措置を促し、実際には双方とも衝突を欲していないにもかかわらず、結果的に衝突に繋がる緊張の増加を生み出してしまう状況を指す、軍事・国際政治学における用語。
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