それによると、TTF取引を手掛けるICEは欧州委員会宛てのメモの中で、「この提案は、ガス価格高騰による経済への影響を和らげることを狙ったものであるにもかかわらず、実際には価格を上昇させる可能性がある」と指摘している。また流動性供給者は価格が上限に比較的近いところまで上昇した場合、発動時のポジション保有リスクから自身を守るためショートポジションを買い戻し、TTFガス先物の売りを停止する可能性が高いとも指摘した。ICEは結果的に、TTF市場の売り手不足が価格を押し上げることになるとしている。
欧州委員会は11月22日、欧州における天然ガス取引指標のオランダTTF期近物が1メガワット時(MWh)あたり275ユーロ(およそ288ドル)を超えた場合に発動される価格上限を提案した。しかし、11月24日、EU加盟国のエネルギー相会合では、上限価格について合意することができず、決定は12月13日の会合まで延期されることとなった。
5日、フィナンシャル・タイムズ紙は、EUは1メガワット時(MWh)あたり275ユーロから220ユーロの上限を検討していると伝えた。
欧州委員会は、このメカニズムは、欧州における天然ガス取引指標のオランダTTF期近物が2週間にわたって1メガワット時(MWh)あたり275ユーロを超え、かつ10日間にわたって液化天然ガス(LNG)の基準価格より58ユーロ高いという2つの条件の下で発動される必要があるとしている。しかし、この275ユーロという水準はかなり高い。これまでTTFの先物価格が275ユーロを上回ったのは2022年8月の数日だけである。市場では、この上限価格が発表される前にも、この措置の発動は、EUの金融の安定に脅威をもたらすものであるとの懸念が示されていた。
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