先に同委員会はウクライナ最高会議に対し、ロシア正教会に関連のある団体の活動禁止を定めた法案の承認を提案していたものの、委員長は考えを改め、「これは決して簡単な問題ではない」との見通しを示した。
「社会では、教会を閉鎖してしまおう、という考えがある。一方、我々は欧州の国であり、EUへの加盟交渉を待つ国である以上、そんなことはできない。というのも、欧州人権裁判所に提訴され、敗訴は確実で、必要な結果は達成できないからだ」
そこで委員長は冷静に事態を進める必要性を主張し、ロシア正教会の活動のみを禁止する法案を提案した。これにより同法案はウクライナ国内の宗教団体に対し、ロシアとの繋がりがないことの証明を義務付ける内容にとどまるとのこと。
先にウクライナ保安庁はキエフ・ペチェールシク大修道院内で「鐘が鳴り渡り、ロシアの上に母なるルーシが目を覚ます、聖母がロシアを救う、母なるルーシが目を覚ます」という「ロシア支持」の歌が歌われていたとし、同大修道院、及び北西部ロブノ州の一部教会で「対情報作戦」を実施し、50人以上を拘束して尋問していた。
キエフ・ペチェールシク大修道院のパーヴェル府主教によると、儀礼を担当したザハリヤ神父は今後、教会内での活動が禁止されたとのこと。その後、府主教はウクライナ主義のサイト「平和維持軍」で懲罰の対象リストに掲載されたという。ウクライナ正教会は一部の聖職者に重罰を求刑する内容の起訴状が用意されているとし、懸念を示している。
キエフ・ペチェールシク大修道院はウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)の管理下にあるものの、5月に分離派のウクライナ正教会(2018年にウクライナ正教会からの独立を宣言)は大修道院の明け渡しを要求する声明を発表していた。ウクライナ正教会は分離派が保安庁を利用し、キエフ・ペチェールシク大修道院を自らの管理下に置こうとしていると懸念している。
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