2022年の主要な出来事

【解説】日本で開催のロシア文化フェスティバル 2023年はどうなる? 2022年のイベントと来年の展望

2022年は露日関係において非常に難しい年となった。しかし、文化面では今後も関係が続いていくだろう。したがって、2023年にはもっといろいろなロシア文化のイベントが開催され、日本人を楽しませることになるだろう。スプートニクは、2022年に開催された露日間の主な文化イベントを振り返り、開催が明らかになっている2023年のイベントについてお伝えする。
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「芸術は永遠、文化は政治の外にある」の標語の下で

2022年の露日関係は悪化したにもかかわらず、両国間の文化イベントが全く開催されなかったわけではない。
東京の三鷹市にある「ストンウエルアートギャラリー」では年頭から年末まで、「第四回現代ロシア絵画展」が開催された。ここで展示された風景画は四季折々の情景を描いたもの。クラシック音楽においては、ロシア人指揮者のミハイル・プレトニョフとピアニストのイリヤ・イーティンが訪日し、コンサートを開催した。文学活動に関しては、第3回 ロシア文学読書感想文コンクール「私のトルストイ」が実施された。
しかし、7月に安倍晋三元首相が銃撃事件で亡くなったことは、露日の文化交流に深刻な打撃を与えた。2006年以降、日本でロシア文化フェスティバルが毎年開催され、素晴らしいイベントとして定着したのは、両国間の関係発展を目指した安倍氏のおかげである。
安倍晋三元首相襲撃事件
安倍元首相の国葬に参列したロシア代表 「安倍氏は日本が独自の道を歩み、自立しなければならないことを理解している人物だった」
8月末に東京で開催された「ロシア文化フェスティバル2022 IN JAPAN」のオープニングセレモニーでは、当時の駐日ロシア連邦大使のミハイル・ガルージン氏と、ロシア文化フェスティバル日本組織委員会副委員長で舞台・映画女優の栗原小巻氏が安倍晋三委員長の代行として出席し、挨拶を行った。このイベントでは、「芸術は永遠、文化は政治の外にある」、「文化の絆は、相互理解と平和の礎」などの標語が用いられた。
ロシアのミハイル・シュヴィトコイ大統領特別代表(国際文化協力担当)の訪日も大きな喜びをもたらすものになった。同氏の訪日は、安倍首相の国葬への参列と、2022年と2023年の文化イベントの計画を策定するために日本側と会談するためのものだった。
2022年に開催が予定されていたイベントは、財政的、物流的、政治的な理由で全てが実現できたわけではないが、シュヴィトコイ氏は、今日の文化交流のレベルについては「日露の文化交流の質は失われていない」と述べ、肯定的に評価している。
2022年の露日文化交流におけるクライマックスは、モイセーエフ・バレエ団の訪日。元々は新型コロナウイルスのパンデミックが起きる前に訪日する予定だったが、今年ようやく訪日が実現し、日本の観客にセンセーションを巻き起こした。同バレエ団のエレーナ・シェルバコワ芸術監督は、スプートニクとのインタビューで、温かく迎えてくれた日本人に対して非常に感謝していると語った他、ロシアと日本の類似点について詳しく述べ、文化面での関係を維持し続けることの重要性について指摘している。

2023年に開催されるイベントは?

多くの文化イベントの開催についてはまだ交渉中ではあるものの、多くの企画が計画されている。今秋にシュヴィトコイ氏が東京を訪れた際には、すでに20件ほどのイベントの開催が計画されていた。
現時点では、サンクトペテルブルクのミハイロフスキー劇場所属のバレエダンサーによる公演、ボリショイ・サーカスのツアー、ロシア人作曲家のセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)の生誕150周年記念コンサートなどが、ロシア文化フェスティバルの暫定プログラムに入っている。サンクトペテルブルグのボリス・エイフマン国立バレエ団と、チェーホフ記念モスクワ芸術座の日本ツアーが実現する可能性がある。モスクワ芸術座は戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を含む2作品を上演するかもしれない。さらには、ロシアの文化や歴史に関する知識を競い合う、全国規模のイベントが日本で開催される予定。
シュヴィトコイ氏によると、文化イベントについては「非常にたくさんの計画」があり、2023年のみならず、2024年を見据えた計画もあるという。2024年にはロシア人文学者プーシキンの生誕225周年を迎えるため、文化的な観点からも非常に重要な年になるという。
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