https://sputniknews.jp/20221223/14352739.html
【解説】史上もっとも厳しい時期となった露日関係
【解説】史上もっとも厳しい時期となった露日関係
Sputnik 日本
... 2022年12月23日, Sputnik 日本
2022-12-23T11:00+0900
2022-12-23T11:00+0900
2022-12-23T18:41+0900
露日関係
2022年の主要な出来事
政治
オピニオン
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/93/54/935402_0:138:3395:2048_1920x0_80_0_0_07481e683ecff336ae4a0230e4a85795.jpg
特別軍事作戦開始直後に、日本が制裁を発動日本政府が初めて制裁発動を発表したのは、ロシアがウクライナにおける特別軍事作戦を開始した4日後であった。2月28日、日本政府のサイトには次のような声明が掲載された。このほか、日本政府は、ロシアのソブリン債の取引を禁止し、防衛関連機関への輸出および半導体を含む二重用途物品の輸出も禁止した。日本の対露制裁は毎月、強化された3月16日、日本はロシアの最恵国待遇を撤回、同月18日には、石油精製装置、工作機械、炭素繊維、高性能の半導体および関連製品、コンピュータ、通信機器、そしてロシアの軍事ポテンシャルの強化につながりかねない物品の輸出を禁止した。3月25日、日本は「バイカル・エレクトロニクス」、「エレクトロヌィエ・システム」などのIT企業、造船工場「ズヴェズダー」、「ヴィムペル」、アムール造船工場などを含む81のロシア企業の資産を凍結。続いて3月29日には600万円を超える自動車、高価なオートバイ、宝飾品、芸術品、酒類、ノートブックなどの輸出が禁止された。ロシアに対する投資、輸出入の禁止は拡大し、ロシアの法人、個人に対する制裁は毎月、厳しさを増した。12月半ばのデータでは、日本はすでに900人、50以上の団体を対象とする複数の制裁パッケージを採択し、一連の銀行の資産を凍結、輸出の制限を拡大し続けている。2023年、日本はG7の議長国として、他の国々とともにロシアへの制裁を続行し、ウクライナ支援を行う意向を示している。これについては、岸田文雄首相は、12月10日に表明した。両国の態度の硬化で政治情勢も悪化これと並行して、両国の間では政治情勢も悪化した。3月21日、ロシア外務省は、日本政府に対し、南クリル諸島(北方四島)問題を含む、平和条約締結交渉を中止すると通告した。さらにロシアは南クリル諸島における共同経済活動に関する対話も行わないとし、ビザなし渡航も取りやめるとした。ロシア外務省の声明によれば、これらの措置は日本が一方的にロシアに対して発動した制限が明らかに非友好的な性格のものであることにより採択されたものである。岸田首相は、このような決定は受け入れ不可能なものだとした。4月8日、日本外務省はロシア大使館の外交官とロシア通商代表部の職員計8人を国外退去させ、ロシア政府高官や企業の代表などに個人制裁を発動した。これに対し、ロシアは対抗措置として、8人の日本人外交官を国外退去させた。5月4日、ロシアは日本の首相、外相、防衛相、官房長官など63人の入国を禁じた。ロシア外務省は、これは日本がロシア政府高官やロシア市民に対し個人制裁を発動したことに対する対抗措置であると説明した。12月、岸田首相は、日本は変わらず、領土問題の解決とロシアとの平和条約締結に向けた方針を維持していくと表明。とはいえ、首相は、両国関係は「大変難しい状況」にあり、今後の平和条約締結交渉について話ができるような状態ではないとした。中国・現代アジア研究所、日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、現在の状況について、「日本にとってもっとも厳しい決定の一つが、平和条約締結交渉の完全な停止だろう」と述べている。すべての企業がロシアから撤退したわけではない3月にロシアではソニー・ピクチャーズが活動を停止した。また人気のユニクロもロシアにある店舗を縮小すると発表、2022年1月の時点でロシアでは50店舗が営業していた。ロシア市場から最初に撤退した大手企業の一つが、世界最大手の工作機械製造や5軸加工機製造を行う企業DMG森精機である。企業は、ウリヤノフスクの工場を閉鎖、すべての職員を解雇した。秋には、自動車大手、日産、トヨタ、マツダもロシア工場の閉鎖を発表。帝国データバンクの統計によれば、2022年10月25日の時点で、ロシアで活動していた日本企業168社のうち、75社が撤退あるいは事業を中断した。つまりおよそ44%である。また指摘しておくべきことは、日本がロシアの資源開発事業「サハリン1」、「サハリン2」から撤退しなかったことである。ワレリー・キスタノフ氏は、日本はG7のメンバーであり、来年は議長国であることから、ウクライナ情勢を受けて、エネルギー資源におけるロシアへの依存から脱却したいと考えている可能性はあると前置きした上で、次のように述べている。ロシアとの輸出入は削減するも、プラスの面もある日本の財務省の統計によれば、ロシアと日本の貿易は年間で35. 5%減少した。日本からロシアへの輸出は34.2%、ロシアからの輸入は36.1%それぞれ減少した。とりわけ、2021年11月の指標と比較し、ロシアからの石炭の輸入は59.5%、液化天然ガスは14.4%、穀物は86.9%、水産物は17.5%減少した。一方で日本はロシアの野菜(+57.7%)、非鉄金属鉱石(+520.4%)の輸入を増加させ、また医療機器(+115.7%)と自動車(+7.7%)の輸出を増加している。また2022年の8カ月で、カニやスケトウダラのすり身の日本への輸出が大幅に伸びている。ロシア文化への愛は制裁を受けないロシアとの協力の窓を次々と閉めながら、日本は人道分野、文化面での小窓は開けたままにしている。2022年1月から10月にかけて、6800人のロシア人観光客が日本を訪れ、この期間の訪日外客数は150万人を超えた。また10月17日から21日にかけては、イーゴリ・モイセーエフ民族舞踊団が日本で28年ぶりに公演を行った。公演は毎年行われているロシア文化フェスティヴァルの枠内で行われ、舞踊団の創設85年に合わせて実施された。他でもないこの舞踊団が1959年に行った公演によって、ソ連と日本の文化交流の歴史が始まったのは興味深い点である。最初の公演は東京の新宿文化センターで行われた。チケットは公演までにすべて完売、観客からは大きな歓迎を受けた。一方、「スプートニク」でもお伝えしているように、ロシアに数多く存在する日本文化ファンや普及者らはときに自身の力で、展覧会、レクチャー、ワークショップなど日本文化をテーマにしたありとあらゆるイベントを開催している。2022年、日本文化の愛好家にとって大きな出来事となったのは、古代から現代までの日本の詩を翻訳を紹介する8巻から成るアンソロジーが出版されたことである。この翻訳を出版したのは、秋田国際教養大学の名誉教授で、現在は高等経済学院東洋研究所の教授である詩人で通訳のアレクサンドル・ドーリン氏である。こうしたすべてのことは、いかなる制裁が発動されようとも、文化への愛は消えないことを物語っている。
https://sputniknews.jp/20221126/1-13976349.html
https://sputniknews.jp/20221004/13190698.html
https://sputniknews.jp/20221104/13644400.html
https://sputniknews.jp/20221203/14080137.html
https://sputniknews.jp/20221118/30-13841695.html
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
2022
リュドミラ サーキャン
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/703/83/7038378_953:0:2632:1679_100x100_80_0_0_8a2ee1c7f6dd37e7d7ee904ebebe8914.jpg
リュドミラ サーキャン
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/703/83/7038378_953:0:2632:1679_100x100_80_0_0_8a2ee1c7f6dd37e7d7ee904ebebe8914.jpg
ニュース
jp_JP
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/93/54/935402_297:0:3028:2048_1920x0_80_0_0_acbff4123227c742316c4cacd5a25028.jpgSputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
リュドミラ サーキャン
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/703/83/7038378_953:0:2632:1679_100x100_80_0_0_8a2ee1c7f6dd37e7d7ee904ebebe8914.jpg
露日関係, 政治, オピニオン
【解説】史上もっとも厳しい時期となった露日関係
2022年12月23日, 11:00 (更新: 2022年12月23日, 18:41) 2022年は、誇張なく、露日関係史上、もっとも厳しい1年であったと言える。これについて、鈴木宗男衆議院議員は、数十年かけて積み上げてきた日露関係の温度はゼロにまで低下したと表現している。実際、これほどの両国関係のレベルの低下は冷戦時代にも見られなかった。「スプートニク」は両国関係の悪化を時系列でまとめ、またこれに関し専門家にお話を伺った。
日本政府が初めて制裁発動を発表したのは、ロシアがウクライナにおける特別軍事作戦を開始した4日後であった。
2月28日、日本政府のサイトには次のような
声明が掲載された。
「日本は次のような制裁措置を講じる。プーチン大統領を含めたロシア政府関係者の資産凍結、対外貿易銀行、プロムスヴャジバンク、「ロシア」銀行の3行の資産凍結、欧米との共同措置として、国際金融システムと国際経済からのロシアの切り離し、ロシアの銀行のSWIFTからの締め出し」
このほか、日本政府は、ロシアのソブリン債の取引を禁止し、防衛関連機関への輸出および半導体を含む二重用途物品の輸出も禁止した。
3月16日、日本はロシアの最恵国待遇を撤回、同月18日には、石油精製装置、工作機械、炭素繊維、高性能の半導体および関連製品、コンピュータ、通信機器、そしてロシアの軍事ポテンシャルの強化につながりかねない物品の輸出を禁止した。3月25日、日本は「バイカル・エレクトロニクス」、「エレクトロヌィエ・システム」などのIT企業、造船工場「ズヴェズダー」、「ヴィムペル」、アムール造船工場などを含む81のロシア企業の資産を凍結。続いて3月29日には600万円を超える自動車、高価なオートバイ、宝飾品、芸術品、酒類、ノートブックなどの輸出が禁止された。
ロシアに対する投資、輸出入の禁止は拡大し、ロシアの法人、個人に対する制裁は毎月、厳しさを増した。12月半ばのデータでは、日本はすでに900人、50以上の団体を対象とする複数の制裁パッケージを採択し、一連の銀行の資産を凍結、輸出の制限を拡大し続けている。2023年、日本はG7の議長国として、他の国々とともにロシアへの制裁を続行し、ウクライナ支援を行う意向を示している。これについては、
岸田文雄首相は、12月10日に表明した。
これと並行して、両国の間では政治情勢も悪化した。3月21日、ロシア外務省は、日本政府に対し、南クリル諸島(北方四島)問題を含む、平和条約締結交渉を中止すると通告した。さらにロシアは南クリル諸島における共同経済活動に関する対話も行わないとし、ビザなし渡航も取りやめるとした。ロシア外務省の声明によれば、これらの措置は日本が一方的にロシアに対して発動した制限が明らかに非友好的な性格のものであることにより採択されたものである。岸田首相は、このような
決定は受け入れ不可能なものだとした。
4月8日、日本外務省はロシア大使館の外交官とロシア通商代表部の職員計8人を国外退去させ、ロシア政府高官や企業の代表などに個人制裁を発動した。これに対し、ロシアは対抗措置として、8人の日本人外交官を国外退去させた。5月4日、ロシアは日本の首相、外相、防衛相、官房長官など63人の入国を禁じた。ロシア外務省は、これは日本がロシア政府高官やロシア市民に対し個人制裁を発動したことに対する対抗措置であると説明した。
12月、岸田首相は、日本は変わらず、領土問題の解決とロシアとの平和条約締結に向けた方針を維持していくと表明。とはいえ、首相は、両国関係は「大変難しい状況」にあり、今後の
平和条約締結交渉について話ができるような状態ではないとした。
中国・現代アジア研究所、日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、現在の状況について、「日本にとってもっとも厳しい決定の一つが、平和条約締結交渉の完全な停止だろう」と述べている。
3月にロシアではソニー・ピクチャーズが活動を停止した。また人気のユニクロもロシアにある店舗を縮小すると発表、2022年1月の時点でロシアでは50店舗が営業していた。ロシア市場から最初に撤退した大手企業の一つが、世界最大手の工作機械製造や5軸加工機製造を行う企業DMG森精機である。企業は、ウリヤノフスクの工場を閉鎖、すべての職員を解雇した。秋には、自動車大手、日産、トヨタ、マツダもロシア工場の閉鎖を発表。
帝国データバンクの
統計によれば、2022年10月25日の時点で、ロシアで活動していた日本企業168社のうち、75社が撤退あるいは事業を中断した。つまりおよそ44%である。
また指摘しておくべきことは、日本がロシアの資源開発事業「サハリン1」、「サハリン2」から撤退しなかったことである。ワレリー・キスタノフ氏は、日本はG7のメンバーであり、来年は議長国であることから、ウクライナ情勢を受けて、エネルギー資源におけるロシアへの依存から脱却したいと考えている可能性はあると前置きした上で、次のように述べている。
「エネルギー分野における日本の利益は、西側諸国の利益と必ずしも合致しません。日本国内では、代替の供給者を模索し、原子力エネルギーを復活させるなどという話が出ているようですが、これは近い将来実現できるものではありません。つまり近い将来、他に方法はないというわけです。両国関係はこれまでになかったようなまったく最悪な状態にあるとはいえ、日本のエネルギーブリッジはまだ燃え尽きていません。そして遠い将来、これが日本の戦略的な方針になるでしょう」
日本の財務省の
統計によれば、ロシアと日本の貿易は年間で35. 5%減少した。日本からロシアへの輸出は34.2%、ロシアからの輸入は36.1%それぞれ減少した。とりわけ、2021年11月の指標と比較し、ロシアからの石炭の輸入は59.5%、液化天然ガスは14.4%、穀物は86.9%、水産物は17.5%減少した。一方で日本はロシアの野菜(+57.7%)、非鉄金属鉱石(+520.4%)の輸入を増加させ、また医療機器(+115.7%)と自動車(+7.7%)の輸出を増加している。また2022年の8カ月で、
カニやスケトウダラのすり身の日本への輸出が大幅に伸びている。
ロシアとの協力の窓を次々と閉めながら、日本は人道分野、文化面での小窓は開けたままにしている。2022年1月から10月にかけて、6800人のロシア人観光客が日本を訪れ、この
期間の訪日外客数は150万人を超えた。
また10月17日から21日にかけては、
イーゴリ・モイセーエフ民族舞踊団が日本で28年ぶりに公演を行った。公演は毎年行われているロシア文化フェスティヴァルの枠内で行われ、舞踊団の創設85年に合わせて実施された。他でもないこの舞踊団が1959年に行った公演によって、ソ連と日本の文化交流の歴史が始まったのは興味深い点である。最初の公演は東京の新宿文化センターで行われた。チケットは公演までにすべて完売、観客からは大きな歓迎を受けた。
一方、「スプートニク」でもお伝えしているように、ロシアに数多く存在する日本文化ファンや普及者らはときに自身の力で、展覧会、レクチャー、ワークショップなど日本文化をテーマにしたありとあらゆるイベントを開催している。
2022年、日本文化の愛好家にとって大きな出来事となったのは、古代から現代までの日本の詩を翻訳を紹介する8巻から成るアンソロジーが出版されたことである。この翻訳を出版したのは、秋田国際教養大学の名誉教授で、現在は高等経済学院東洋研究所の教授である詩人で通訳のアレクサンドル・ドーリン氏である。
こうしたすべてのことは、いかなる制裁が発動されようとも、文化への愛は消えないことを物語っている。