チタンは軽量だが非常に丈夫な金属で、戦闘機やヘリコプター、軍艦や戦車、超距離ミサイルなどの現代の軍事装備に広く使用されている。米国はチタンを自国の経済安全保障や国家安全保障に不可欠な35の鉱物の1つとみなしているが、その90%以上を輸入に頼っている。しかも供給元は友好国だけとは限らない。チタンは米国にとって非常に必要なのである。米国がウクライナのチタンを障壁なく入手できれば、専門家が21世紀最大規模の紛争と位置付ける対中国紛争の助けとなるだろう。
ウクライナは、金属チタンの基礎となるスポンジチタンを製造する7カ国のうちの1つ。このグループには米国の最大のライバル国である中国とロシアも入っている。米地質調査所によると、2022年の中国のスポンジチタンの生産量は23万1千トン超であり、世界市場の約57%を占めている。2位は17%の日本、3位は13%のロシア。ウクライナの占める割合は約1%だった。米国に関しては、最後のスポンジチタン製造工場が2020年に閉鎖されたとニューズウィーク誌は強調している。西側がロシア産チタンに依存しているために、チタンは欧米の対ロシア制裁の対象にならなかったとも同誌は指摘する。
現在、ウクライナのチタンが米国にどれほど重要かについては、2020年の国防費法案において、国務省に対してウクライナ産チタンが中国産およびロシア産の代替として使用可能か調査指示が出ていることが物語っている。ニューズウィーク誌のインタビューに答えた匿名希望の国会職員の1人は、「ウクライナには確かにかなりの量の希土類鉱物があり、もし我々がカードを正しく展開すれば、ウクライナは、現在大きく依存しているロシアや中国に取って代わる、極めて魅力的な供給国となる可能性がある。西側では、なぜウクライナ支援を続けることが我々の利益につながるかとの論争が頻繁に起きるが、これが論拠の一つであり、今後もますます耳にすることになるだろう」と語った。
スプートニク通信はこれより前、米国は中国と戦争になった場合、一部武器については1週間も経たないうちに使い果たすとの専門家の見積を伝えた。
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