ブラジル海軍は次のように発表した
「元空母『サンパウロ』に関しては、計画され統制された沈没処理が2月3日、厳密なプランに沿って実行された」
「サンパウロ」はブラジル海軍が所有していた唯一の空母で、元はフランス海軍の空母「フォッシュ」として1960年代に就役。2000年にはブラジルが中古空母として購入し、2017年の退役まで半世紀以上にわたり国防の最前線で活躍した。
2021年にはトルコの会社が190万ドル(2億5000万円)で買い取り、昨年夏以降に解体が予定されていた。だが、トルコ政府は船体に含まれる有害物質による環境汚染を懸念して、地中海まで曳航された「サンパウロ」の停留を拒否した。
その後、ブラジル近海に戻ったが、そこでも環境汚染や座礁の危険性を理由に入港が拒否された。船体には穴が空いており、浸水して沈没のリスクも指摘されていた。
こうして行き先をなくした「サンパウロ」はブラジル沖で数カ月間漂流した末、古巣のブラジル海軍が自ら手を下すことになった。同軍によると、沿岸から350キロ離れた地点の水深約5000メートル地点に沈められた。船舶の航行や環境、漁業や生態系に考慮してこの場所が選ばれたとしている。
一方、ブラジル環境・再生可能天然資源研究所は「サンパウロ」の船体にはアスベスト、クロロフルオロカーボン、マイクロプラスチック粒子、重金属などの大量の汚染物質が含まれており、沈没処理の安全性に疑問を呈している。
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