ウクライナでの露特別軍事作戦

露ミサイルにさらされる 西側がウクライナへの戦闘機供与を恐れる理由 英専門家が明かす

米国や一部の欧州諸国がウクライナへの戦闘機供与を渋っている理由の一つに、ロシアの「致命的な」対空防衛ネットワークが挙げられる。英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)で研究フェローを務めるジャスティン・ブロンク氏が、英誌「スペクテイター」に寄稿したなかで指摘している。
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これまでにオランダやポーランドは多用途戦闘機「F-16 Viper」のウクライナへの供与を「ほのめかして」いるが、米国やドイツは現在のところ供与を否定。英国のスナク首相は戦闘機供与の「可能性を排除しない」としているが、複雑な操縦が必要な戦闘機の訓練には長時間がかかると指摘している。
ブロンク氏は次のように述べている。

「まず第一に、堅固で致命的なロシアの地上配備型高射ミサイル装置のネットワークが問題になる。ウクライナとの前線にはロシアの対空防衛システムが幾層にも重なっている。巨大な長距離ミサイル発射システム(『S-400・トリウームフ』)から、機動性重視の『ブーク』、『トール』など短距離のものまである。このほか、ロシアは『珍奇な』レーダー『48Ya6-K1・ポドレト』を所有しており、このレーダーはより広い範囲でのウクライナの航空機の撃墜を可能とする」

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最も供与の可能性が高いのは米製戦闘機「F-16」やスウェーデン製の「Gripen」とされている。だが、ウクライナ東部、南部の平坦な土地では隠れる場所がなく、ロシア軍のレーダーにかからないよう超低空飛行をする必要がある。パイロットが目標を定めたり、迎撃ミサイルを避けるのに必要な判断を下す時間は数秒しかないなど、任務の効率性が大幅に下がってしまうという。
ブロンク氏は敵の防空システムを制圧して破壊するには数百機の戦闘機が必要で、慎重な作戦計画、大量の武器や給油機、最新の警戒・偵察機、人員の特別な訓練が必要となると指摘する。そして、仮にウクライナが供与を受けたとしても、必要なレベルの戦闘能力まで近づけるのには役に立たないと結論付け、次のように述べている。

「ウクライナへの戦闘機の供与プロセスには、多くの物流・訓練作業が必要となり、信じられないほど時間がかかる。しかもそれはすべてロシアのミサイルにさらされている」

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