【視点】第6世代戦闘機:日本とパートナーが米国に挑戦?

日本、英国、イタリアは、年内に次世代戦闘機を開発する国際企業を設立する予定だ。次世代戦闘機はどのようなものになるのか、なぜこの3カ国が手を組んだのか、スプートニクは軍事アナリストに聞いた。
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ブルームバーグ通信によると、この戦闘機は2035年に就役予定だという。

戦略的エゴイズム

アメリカは、共通の目標のために同盟国に協力するよう求めながら、戦略的に重要な問題については国家エゴイズムを示すことが少なくない。
たとえば、安倍首相時代に日本はF-35戦闘機の開発パートナーになりたいという意向をアメリカに対して表明していた。しかし、アメリカ国防総省は最新の第5世代爆撃機の開発計画に日本を含めることを拒否。ただし、必要な数の爆撃機を日本に販売することにはやぶさかではない。
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軍事専門家のユーリ・クヌートフ氏は、このことが今、日本の予算を圧迫していると言う。

「F-35のパイロットのヘルメットは1個約40万円もする上に、パイロット一人一人に合わせて特注で製作されます。別のパイロットがそのヘルメットを使うことはできません。F-35では、事実上1年に1回、コンピュータのアップグレードが行われます。機体にはアップグレード(今後数十年にわたるすべての電子機器のアップグレード)が組み込まれているのです。アメリカの軍産企業にとっては格好の「金のなる木」です」

アップグレードしなければF-35の使用に問題が生じるため、F-35を購入した国は実質的に財政的な隷属状態に陥ることになる。

日本は成功の保証人?

CIS諸国研究所の軍事専門家ウラジミール・エフセーエフ氏によると、軍事開発への日本の積極的な関与は、ヨーロッパの航空機建造能力が不十分であることを示唆しているという。

「戦略的に重要なブレークスルー(最新の次世代多目的戦闘機の開発)には、現時点のそれ(編集部注:欧州の能力)では不十分です。ヨーロッパは技術的に遅れ始めています。一方、日本はすでに衛星コンステレーションの構築で多くを成し遂げており、アメリカはこの衛星コンステレーションをミサイル防衛で使用しています。ですから、英国やイタリアも日本の近代的な技術にアクセスしたいのです」

一方、日本のパートナーとなる2カ国にも他の重要な機能があると専門家は言う。英国は強力な防衛産業を持っており、イタリアはヨーロッパの産業の中心地の一つなのである。
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アメリカの監視下で行われるヨーロッパのリーダー交代

もう一つ注目されるのは、新会社にドイツとフランスという欧州を代表する2カ国が含まれていないことだ、とエフセーエフ氏は指摘する。
「この2カ国がプロジェクトのメイン開発者に呼ばれていないことが多くを物語っています。これは本質的には、2カ国の「弱体化」というイメージの問題なのです。というのも、アメリカの計画に強く抵抗できるのはこの2カ国しかありません。EUのリーダーとしてのドイツとフランスの政治的地位を下げるために、この2カ国は新会社から外されているのです。ですから、フランスとドイツの両政府は、この事実をまさに「警鐘」と受け止めるべきでしょう。しかし、新会社が次の段階で拡大し、次世代戦闘機の開発に他国も参加することになる可能性は否定できません。ただし、メイン開発者としてではなく、下請け業者としての参加になるでしょうが」
たとえば、トルコはかつてF-35戦闘機の計画に参加したことがある。しかし、このことは、後にアメリカが約束を反故にして、支払われた資金の返金もしないまま、トルコへのF-35の納入を拒否する妨げとはならなかった。アメリカの承認を得ずにロシアからS-400を購入するなどしたトルコの独自政策の代償だったのだろう。

次世代戦闘機はどんなものになる?

エフセーエフ氏によると、「まず、航空機の制御や目標探知など、人工知能がより幅広く使われるようになります。また、幾何学的形状や電波吸収体によってレーダーや赤外線などの探知領域で探知されにくくする研究も続けられています。つまり、戦闘機の生存能力を向上させるステルス技術のさらなる開発ということです」
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アメリカは同盟国にも先を越させないのか?

政治軍事分析事務所のアレクサンドル・ミハイロフ所長は、日本、英国、イタリアの「大胆不敵さ」に賛辞を送る一方で、アメリカが「ゴーサイン」を出さなければ、この構想は成功しないと考える。
「ヨーロッパ独自の戦闘機を作ろうという試みは、これまですべて失敗に終わっています。アメリカは、自分が主要な受益者として直接参加するのでない限り、ヨーロッパが先行することを許さないでしょう。それどころか、妨害することもあるでしょう。もしアメリカがヨーロッパに(今回は日本にも)ゴーサインを出すとしたら、それは彼ら自身がF-35のプログラムを完全に終了させた後になるはずです。その後、アメリカは第6世代戦闘機の開発に着手するのです」
しかし、未来の第6世代戦闘機が持つ性質のなかには確実なものがひとつあると、アレクサンドル・ミハイロフ氏は言う。
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「無人化できる能力を持つことです。そして、「下の世代」の航空機、あるいは大型の攻撃用無人機を群団として指揮できるリーダーの能力を持つことです。たとえば、ロシアのSU-57は、新型の攻撃用無人機「オホートニク」とペアを組んで共同飛行の訓練をしています。それから、より優れた操縦性を実現するために、当然、第6世代戦闘機はまったく新しい形状(翼型ではない)になるはずです。加えて、その能力をつなぐ「インテリジェント・ファームウェア」も第6世代に相応しいものでなければなりません。しかし、今のところ、それはまだ達成不可能です」
もし、そのような技術的ブレークスルーが実現し、F-35よりも優れた戦闘機ができれば、その生産はアメリカ国内で展開される可能性が非常に高いとウラジミール・エフセーエフ氏は考える。
このように、日本、英国、イタリアは戦闘機建造のために共同で尽力するが、そのプロジェクトから得られる技術的、軍事的、経済的な「上澄み」はアメリカが持って行ってしまうのである。いずれにせよ、今回の合意では、ロンドンに本社を置く欧州最大の防衛企業BAE Systems PlcとイタリアのLeonardo SpA(「ユーロファイター・タイフーン」と「テンペスト」におけるパートナー)が、日本のF-Xを主導する三菱重工業とともにプロジェクトを進めることになった。一方で、英国がプロジェクトのリードパートナーになるのか、3カ国が同等の持ち分を持つことになるのかは、まだ明らかになっていない。
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