【解説】日英共同開発の爆撃機はどのようなものになるのか?

CC BY 4.0 / 防衛省 / 次期戦闘機のイメージ。防衛省の資料より写真のみ抜取 (cropped photo)次期主力戦闘機F-X
次期主力戦闘機F-X - Sputnik 日本, 1920, 06.12.2022
日本と英国が、円滑化協定の署名に向けた動きを活発化させている。両国の防衛分野における協力の一つとなっているのが、両国で進められている将来性ある2つの戦闘機の開発を統合するというものである。統合されるのは、日本の三菱重工業開発による次期主力戦闘機F-Xと英国の航空・防衛大手BAE システムズ開発による次期戦闘機テンペストである。これらの航空機はコンセプトとして類似していることから、共同開発することによりさらなる効果が得られると期待されている。
ここで述べておかなければならないことは、これらの航空機について知られていることはあまりないということである。これらの開発については、F-35あるいは F-22に比べ、極秘扱いとなっている。F-35やF-22については多くのことが明らかになっており、飛行するのを見ることもでき、触ってみることもできる一方で、日英の合同開発機については、企業側が発表したい内容しか明かされていない。しかし、詳細については極秘となっているものの、開発の主な構想については知られており、この戦闘機の能力がどのようなものになるのかについて評価することは可能である。
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空中戦での指揮所

いずれの航空機も、バーチャル・リアリティ・ヘッドセットがセットされることになっている。つまり、航空機および空中での状況に関するあらゆる情報は、パイロットのヘルメットに付いたスクリーン上で伝えられるということである。英国は対して、キャビンの中に装備やボタン、スイッチを設置する方法を却下した。BAEシステムズのテンペストの操縦は最大限に自動で行われることになっている。
英国人というのは、伝統を非常に重んじる国民であり、もし英国が航空開発における伝統を避けるとしたら、それはそこに何らかの利益があるからにほかならない。おそらく、英国の戦闘機は、それを操縦するパイロットを単なるパイロットではなく、空中で他の航空機や無人機に指令を与える存在にするということを前提として開発されていると思われる。空中戦で、その戦闘機はもっとも優勢な状態で投入される。
どうやら英国軍の司令部は、スピード感がありダイナミックな空中戦の指揮は、空中で行われるべきだと考えているようである。戦闘の規模は、あらゆる可視化手段を使っても、地上の指令所からは実感し難いものである。航空機と無人機を動かす司令官は、状況によって戦法を変え、戦闘機の目標を定め、現れる敵を攻撃するか、あるいは戦闘の規模に応じて、退却の決定を下さなければならない。そこで、テンペストは何より、空中における指揮所として開発されている。
B-21 - Sputnik 日本, 1920, 03.12.2022
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一方、日本の開発機は、超音速飛翔の空対艦ミサイルASM-3またはそれに類似したミサイルを搭載する攻撃機として開発されている。この意味において、F–Xはロシアのミグ31に類似している。この戦闘機に与えられた課題は、敵の情報を入手し、目標を定め、攻撃することである。
これらの開発が統合されれば、2つのタイプの航空機―攻撃機と空中での指令所―ができることになる。日本の航空自衛隊はその両方を必要としている。空中の指揮所は、日本のF-35Aおよび今後、製造される無人航空機による戦闘を指揮することができる。

テンペストの飛行速度

英国の次世代戦闘機「テンペスト」の飛行速度は当初はマッハ3.95あるいは時速4834キロと、かなりの高速飛行を行う戦闘機になるものと考えられていた。いずれにせよ、2019年の7月、英空軍参謀総長のスティーブン・ヒリアー卿は、そのような速度を持つ戦闘機が非常に必要であり、ロールスロイス社の新しいエンジン開発によってそのスピードを実現することができると述べていた。そして後に、より最近の報道で、BAEシステムズのテンペストは時速2500キロあるいはマッハ2の速度で設計されていることが確認された。
英国の開発者や空軍司令部が新たな開発において、そうした速度を要求しなくなるとは考えにくい。なぜなら、速度というのは戦闘機にとってきわめて重要なメリットだからである。第一に、マッハ4で飛行する航空機は、そのほとんどがマッハ3.5〜4の速度を持つ空対空ミサイルを回避することができる。敵の航空機はそのミサイルに到達することができないからである。第二に、そのような戦闘機はもっとも優れた地対空ミサイルでも命中することは難しい。ロシアで開発中のマッハ5の地対空ミサイルシステムS–500をもってしてもである。第三に、マッハ4のスピードで飛行する航空機にとって、マッハ1.5〜2で飛ぶ敵というのは動かない的と同じようなものであるということである。またそのような速度で飛行するテンペストは、ミサイルのみならず、鋼鉄の機体で敵を撃ち落とすことができる。衝突のエネルギーは航空機を破壊するのに十分な力を持っているからである。
Проект истребителя шестого поколения BAE Systems Tempest - Sputnik 日本, 1920, 06.12.2022
英国の次世代戦闘機「テンペスト」
つまり、速度というのは、非常に大きな利点なのである。そこで英国がこの開発について発表しないのは、敵がそこに着目し、それに対抗しうる兵器を開発するのを防ぐためであろう。それはたとえば極超音速対空ミサイルなどである。
いかにしてこれを開発することができるのか?あらゆる開発の基礎となっているのは単純な技術的なアイデアである。航空機の速度をマッハ4まで上げるためには、燃焼室に燃料と酸化剤、液体酸素または四酸化二窒素が送られるロケットエンジンを使うしかない。ロケットエンジンは、アフターバーナーで、プラット・アンド・ホイットニーF119-PW-100エンジンの4.7倍以上の推力を出すことができる。
しかし、航空機にターボジェットエンジンとロケットエンジンを搭載することは不可能であると思われることから、おそらく、一定時間ロケットエンジンとして機能するターボジェットエンジンが作られているものと考えられる。
技術的にこれは十分に可能なものである。必要なのは、燃焼室に酸化剤を投入するシステムである。しかし、実際にこれを行うのは難しい。こうしたハイブリッドエンジンを安定して機能させなければならず、またターボジェットエンジンからロケットエンジンへのモードの切り替えも十分に完成されたものでなければならないからである。とはいえ、ロールス・ロイス社はそれができるという評判のある企業である。
そのような戦闘機があれば、敵を簡単に撃破し、空中戦を制することが可能となる。日本の航空自衛隊にとって、そのような戦闘機を保有することは、おそらく、中国空軍との戦闘で勝利を収めるための唯一の希望となるだろう。
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15年以内には不可能

しかし、これらの戦闘機は、今のところただの絵空事である。開発中の日本の戦闘機は、2024年に組み立て、2028年に飛行試験を行い、2031年に生産を開始する計画である。一方の英国の戦闘機は、まだ開発の初期段階にあり、最初のモデルの組み立てが2025年、生産開始は2035年に計画されている。それを軍事行動に十分な量を生産するには、そこからさらに10年ほどの時間を要する。
もっとも楽観的な計算でも、英空軍と日本の航空自衛隊に新たな戦闘機が登場するのは2040年ごろになるだろう。また2つの開発を統合するのにも時間がかかることから、実際配備される時期はさらに遅れる可能性もある。
しかし、世界情勢というものは15年後にはまったく変わっている可能性がある。新たな開発機が出来上がるかどうか断言することはできないのである。
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