ロシアによる援助について
マクルーフ内相は以下のように述べている。
「ロシア軍とロシアの救助隊によるチームは多くの人々を救い出し、その的確な救助活動により、48時間以上瓦礫の下にいた人々の命さえも救うことができたのです。特に、多くの家屋が倒壊したジャブラ(ラタキア県)におけるロシア軍の活動には注目に値します。ロシアの救助隊はシリアの同僚と共に活動しています。ロシアのチームによって救出された人々はラタキア県の国立病院に搬送されており、そのほとんどは既に容態が安定しています」
ロシア軍とロシアの救助隊はラタキア県だけでなく、地震で被害を受けた他の地域でも活動を続けている。今後2日間で、ラタキア空港にロシアの救援機2機が到着する予定。
マクルーフ氏によると、航空機はフメイミム露空軍基地へ送られるが、これは、シリアの空港は人道支援物資を積んだ航空機の受け入れ態勢が整っていることを示しているという。
大惨事を無視する米国
何故米国は大多数の国がシリアへ援助を行うことを許さないのかという問いに対し、マクルーフ氏はこのように強調した。
「大災害に苦しむ我が国に人道支援を行うという米政権の主張は全て、根拠のない作り話です。米国や対シリア制裁に参加している全ての国々は、医薬品や特殊機械、人道支援を受けられないシリアの人々が耐えている死、病気、困窮に対して責任があります。厳しい戦争の終結から数年足らずで、我が国がこのような未曽有の大災害に単独で対処する準備がないことは明らかです」
マクルーフ氏によると、米国政府は大多数の国がシリアへ一切の援助も行わないよう意図的に妨害しているという。
シリアのバッシャール・ジャアファリー駐ロシア特命全権大使も同様の立場をとっている。「スプートニク」の独占取材でジャアファリー氏は、米国や西側諸国がシリアに対する制裁を少なくとも部分的に解除し、同国への援助を行うことに消極的であると話した。
「制裁の問題は、西側諸国が人道問題を高度に政治化していることを示すための口実にすぎません。このことについて、シリアは国連安全保障理事会で以前から何度も提起してきましたが、耳を傾ける人はほとんどいませんでした。それは今なら一目瞭然です。トルコとシリアの両国が地震に見舞われたにも関わらず、西側諸国が見ているのはトルコだけで、同国にしか援助や救助隊を送っていないのです。我々シリア人は彼らにとって存在しないも同然です。そこに政治は存在せず、あるのは人間としての度合いのみです」
米国のブロッキング制裁、いわゆる「シーザー法」は2019年10月20日、大統領によって署名された。これは米政権に、シリア政府へ直接的及び間接的な支援を行う組織や個人に対して制限的措置を課す権限を与えるものである。
一方、ジャアファリー氏もまた、ロシアが政府・民間レベルで被災地シリアを積極的に支援していることに感謝の意を表した。
「ロシア政府はシリアでの人道支援と捜索救助活動における労力や費用を惜しみません。シリアが厳しい状況にある今、政治家や外交官だけでなく、ロシアの一般市民の方々までもが被災者を支援したいと考えていることは喜ばしいことです。実際、大使館に人道支援物資を持ち込んだり、支援金を送ってくれるのはロシアの皆さんです。また、民間団体や非政府組織、慈善団体も支援して下さっています。大変感謝しています」
ジャアファリー氏は、一般市民がモスクワのシリア大使館へ献花に訪れ、出来る範囲の支援金を残していくことに対し、感銘を受けたという。
「私にとっては、これこそが両国民の強い友情の証なのです」