【特集】ロシア産食材で日本の餃子 人気日本人シェフ小林さんが語る制裁の影響 ロシアで起業のコツ

2022年の1年間で実に多くの日本企業がロシアから撤退していった。日本からロシアへの直接的な供給も途絶え、次から次に新たな制裁が発動されている。こんな状況ではロシアの店頭やマーケットプレイスからは日本の商品製品が大量に消えてもよさそうなものだが、実際はそうはなっていない。スプートニクが注目したのは、YOSHIMIの冷凍餃子が大量に店頭に並んでいることだった。YOSHIMIのオーナーであり、ミシュランに推薦されたモスクワのカフェ「Corner Cafe&Kitchen」のオーナーシェフでもある小林克彦さんはスプートニクからに取材に、餃子の生産ラインの状況、レストラン業界への制裁の影響度、ロシアと日本でのビジネスの違いについて語っていただいた。
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和食は2013年にユネスコの人類無形文化遺産に登録された。和食は世界中で絶大な人気を誇っており、ロシアも例外ではない。中でも握り寿司、巻き寿司に特に人気が集中している。 他の国の料理を食べてみたいという気持ちはよくわかる。職を通じて異文化に触れ、新たな味わいを体験できるからだ。
ロシアに2000年代初めに登場した日本料理店は高所得者層をターゲットにしていた。だがチェーン店が次第に増えてくると、和食はより幅広い所得層の手に届くようになった。
2022年の調べでは、ロシアの人口100万人都市には、平均して約300軒の日本食レストランがある。この数値は年々増加し、それに伴って日本食レストランや日本食材、食品市場も拡大している。

ロシアで味わう日本の本場の餃子

2021年12月、小林さんはモスクワにラーメン屋台「YOSHIMI」を開店した。YOSHIMIはラーメンやカレーだけでなく、オリジナルの餃子も充実していた。小林さんはYOSHIMIの特製の餃子を工場で生産する体制を整えたおかげで、今やこの餃子はモスクワの多くのチェーンスーパーで販売されるようになった。日本料理を味わいたい人は、自宅に居ながら簡単に調理でき、日本の一流レストランの味を楽しめる。小林さんの話ではこの餃子は生まれ故郷の長野の味を再現してみたそうだ。
ところがつい先日、YOSHIMIは公式インスタグラムを通じて、閉店を宣言したのだ。

「YOSHIMI」餃子の運命は?

スプートニク:先週、インスタグラムで日本料理店「YOSHIMI」の閉店が発表されました。閉店に至った経緯について教えてください。ロシア人の目と胃袋を喜ばせていた「YOSHIMI」の餃子ですが、これからは生産をやめ、店頭から姿を消してしまうのでしょうか。
小林克彦さん:YOSHIMI はカフェが閉店しただけであって、YOSHIMI社が閉店したわけではありません。逆にスーパーなどへの卸しが忙しくなり、製造 卸しに集中するためにカフェを閉店する事にしました。YOSHIMI は今後もスーパーなどでご購入頂けます。

制裁の影響

スプートニク:現在、日本からロシアへの直送便もなければ郵便も機能しておらず、新たな制裁が課せられています。このことで、小林さんのお仕事や生活に何か影響がありましたか。供給に問題がある場合、必要な品物の代わりとなるものは見つかったのか、それとも第三国経由で注文しているのでしょうか。
小林克彦さん:もちろん色々と不便な事はあります。特にロシア国外へ移動する場合にはクレジットカードなど不便ではありますが、仕事においては 元々ロシア産の材料を優先していましたので価格の高騰以外は制裁による問題はありません。
【解説】制裁発動中であるにもかかわらず、ロシア産のタラバガニとすり身が日本に大量に運ばれている
スプートニク:小林さんはロシア産の材料を優先しておられるとのことですが、具体的にどの地域の製品を使っていらっしゃいますか。
小林克彦さん:ロシア産食材と言ってもヴォロネジの肉類とか、クラスノダールのお米のようにロシア産の食材もありますが、私の言っているロシア食材の中にはロシアで生産されている物とロシアでは生産されていなくても一般的にロシアで入手が容易な物を含めてロシア食材と言っています。なので厳密にはロシア産ではない物も多いと思います。

「ロシアに残る」

スプートニク:小林さんは、現在ロシアにお住まいでしょうか。これからもロシアに留まる予定ですか?もしその場合、日本のお知り合いから「なぜロシアに残っているのか」と質問されることはありませんか。
小林克彦さん:現在もロシアで生活しています。また、現状が大きく変わらなけれが今後もロシアで生活していく予定です。もちろん友達、親戚の中には帰国を即す者もいますがそれは現実的ではないただの妄想だと思っています。
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日本とどう違う ロシアで起業

スプートニク:ロシアでビジネスをする上で、日本と異なる点はおありでしょうか。
小林克彦さん:日本では起業した事がないので正確にはわかりませんが イメージとして日本では起業時に細部まで決めてそれに沿って進めて行くような気がしますが、ロシアではざっくりとしたビジネスプランを決めて後は臨機応変に進める事が多いように思います。
スプートニク:ロシアでのビジネスに興味があるものの、まだ挑戦するか迷っている日本の起業家の方々に、何かアドバイスはおありでしょうか。
小林克彦さん:一般的に日本の物、やり方をロシアに持ってきて当てはめても難しいのが現状だと思います。まず、ロシアの市場を良く理解すべきだと思います。また、それを良く理解している人と起業するのが一番良いと思います。
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