新設される弾薬庫の一部は、改良型12式地対艦誘導弾(日本製は射程1000キロ以上、また日本政府が近く、自衛隊に配備する予定の米国製トマホークは射程1600キロ)の保管に使われるものとされている。このようなタイプのミサイルを保管するには、現在の弾薬庫よリもかなり大型のものが必要となる。
読売新聞はこれについて、弾薬庫の整備には地元の理解が不可欠であるため、防衛省は、自治体との調整や住民への説明を丁寧に行う考えだと伝えている。
では、弾薬庫の新設が計画されている地域の人々はこの計画にどのように反応しているのだろうか。抗議の声は上がるのだろうか。世論調査の結果によれば、大部分の回答者が、国の防衛力の強化に向けた政府の行動を支持しているが、この計画にしかるべき理解を示しているのだろうか。
これについて、「スプートニク」は、中国・現代アジア研究所日本研究センターの主任研究員、オレグ・カザコフ氏に意見を聞いた。
「もちろん、このような兵器の弾薬庫というのは、戦時中でなくとも、客観的に見て、爆発の危険があるものです。そして、ロシア・ウクライナ紛争からもわかるように、もし軍事紛争になれば、そのような施設は高性能誘導ミサイルの一番の標的になります。まず、弾薬備蓄の可能性を奪うために、敵は弾薬庫から殲滅するからです。
そしてもちろん、これは近隣の居住区に住む人々に一定のリスクを与えるものです。人々は不安と懸念、脅威を感じるでしょう。しかし、何より日本政府は、リスクを最低限に抑え、住民への損害が最小限で済むような場所を選びつつ、地元の自治体や市民との関係を構築する方法を学んできました。これは沖縄の一件でもはっきりしています。
第二に、世論について言えば、社会においても、ゆっくりとではあるものの、日本の防衛力を強化する必要があるという理解が深まりつつあり、こうした方向に向けた政府の行動についても、国の安全を守るために必要なものだと評価するようになっています」
弾薬庫のかなり多数が北海道にあるのは、第二次世界大戦とその後の『冷戦』の影響です。日本はソ連からの攻撃にかなり周到に備えていたのです。
現在、地政学的リスクは、主に別の方面に集中しています。日本と米国の評価によれば、現在、中国は1250発の中距離弾道ミサイルを保有しており、そのため米国の第7艦隊の抑止行動が求められ、また日本国内の米軍基地に脅威を与えています。
「これは日本社会に心理的な圧力をかけています。ですから、防衛費の増大、米国からのトマホークの大量調達、NATOとの協力、弾薬庫の新設は、増大しつつある中国の軍事力と野望に対抗するのに不可避なものだと捉えられているのです。しかしそれは大きなリスクを孕んでいます」