長い歴史を持つスパイ?
「第二次世界大戦時には、日本は弾薬は米国領に届けるため、気球を積極的に使用しました。また戦後には、今度は米国が偵察を目的に、気球を広く使用しました。
CIAは1950年代、『モビー・ディック計画』という作戦を実施し、関心の高いソ連の施設の写真撮影を行うため、ソ連領空に1000の無人の気球を飛ばしました。この『モビー・ディック計画』の真の目的を隠すため、気球は気象観測のために用いられていると発表されました。しかし、トルコの米軍基地からだけでも、500以上の気球が放たれ、後に、フィンランドとスコットランド領内からも放球されました。
もちろん、その大部分は撃墜されましたが、いくつかの気球は上空を飛行しました。飛行は主に、高度(25〜35キロ)では気流はほとんど変わらない大気の特徴を利用することでこれは成功しました」
どんな行動にも反撃の手段はある
「大気の中度、高度を飛行する気球のような目標物をより正確に撃墜するために、ロシアでは高高度防空ミサイルシステムS–75が開発されました。後には、高度40キロ以上でも目標物に命中させられるS–200が開発されています。
またS−300、S–400も、同様の課題を順調に遂行しています。さらに、偵察気球のような脅威に対抗するためには、飛行高度で世界的な記録をいくつも保持するミグ31、ミグ25も用いられています」
「問題は、気球を作る費用は1000ドルほどですが、これを撃墜するミサイルは数万ドルの費用がかかっているということです。ですから、上空を飛行している気球が100%、偵察用であると特定できた場合は、必ず撃墜しますが、確信が持てないときには、そのままにしておくこともあります」
米国の防空システムの穴を見つけた中国の気球
「米国の防空システムパトリオットは、25キロまでの目標物を対象に開発されており、その他のシステムは80キロ以上でしか機能しないのです。戦闘機は15キロ、5世代ジェット戦闘機ラプターは最大20キロまでしか到達しません。つまり、米国には防空システムに穴があるわけです。おそらく、中国はこのことを知っていたのでしょう」
「しかも米国は戦略空軍基地と管制センターの上空を漂流しているときにこれを撃墜しました。もし、この近くに中国のリピーター衛星があったとすれば、事実上、この気球が収集したすべての情報が地上の通信基地にすでに送られていたでしょう。そしてそれは米国の防空システムの研究に使われるのです」
注意を逸らすための行動
「この球体は、湖の上空にどこから聞こえてくるのかわからないヘリコプターの音に似た騒音を生み出し、ロシアの防空システムを撹乱しました。スクリーンで見ると、球体はまさにヘリコプターのように見えたのです。
この金属製の球体の貴重な特徴は、球体の外側は無線を透過する素材で作られていた点です。ですから、探知機には映らず、映ったのは球体が運んでいた搭載物だけだったのです。つまり、どんなレーダーでもこの目標物を見つけることができるというわけではないということです」
日本で目撃された不審な気球
「日本で発見されたのは、保護用ネットを固定しているブイである可能性が高いでしょう。基地のある特定の水域への潜水艦の侵入を防ぐためのものだと思われます」
メディアによって広まった世界的屈辱
「米国の防空システムは、普通の旅客機が気づいていた中国を気球を、文字通り、すっかり見過ごしたのです。それは大騒ぎです。これを受けて米国がその飛行高度を分析したところ、多くの問題点を発見したのです」
宇宙救助隊:UFOは屈辱から目を逸らさせ、楽しませた
「これはまったくの屈辱です。通常であれば、国防大臣が辞任するレベルです。中国の偵察気球が国の核施設の上空、米国の戦略空軍がある場所を飛行したのですから。米国の防空システムは、直接的な意味で、これをまったく見過ごしたのです」