米アフガニスタン復興担当特別監査官が最終報告書を提出 米軍の政策がいかにタリバンの勝利を早めたか

米国政府のアフガニスタン復興担当特別監査官(SIGAR)であるジョン・ソプコ氏は、アフガニスタン政府の崩壊とタリバン(ロシア連邦では活動を禁止されている組織)の政権奪取につながった、米国がアフガニスタンで犯した過ちをまとめた最終報告書を発表した。
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米軍部隊は約900億ドル(約12兆2300億円)を費やしたにも関わらず、20年間の駐留中に現地の「独立して自立した」治安部隊を組織することができず、2021年8月にアフガニスタンから急いで撤退したとソプコ氏は報告書で述べている。同氏によれば、アフガニスタン国防治安部隊(ANDSF)の再建に向けた米国のアプローチには、戦争で疲弊した国の治安部門全体を再建するのに必要な時間と資源を割く政治的意思が欠けていたという。その結果、ANSDFは「自立して活動することができず」、この部隊の潜在能力を伸ばすのは「非現実的」であることが判明した。
また、ANSDFは米軍に大きく依存していたことから、アフガニスタンから撤退し、同国への支援を削減するという決定は、アフガニスタン兵と警察の士気を大きく低下させるものとなった。
米議会 アフガニスタン撤退の調査開始
一方、アフガニスタン軍の崩壊の責任は、同国の元当局者らにある。報告書によれば、アフガニスタンの当局者は汚職に手を染めており、米国と北大西洋条約機構(NATO)から処罰を受けないという文化の中で活動し、「特に防衛面において、重要な戦略問題」に対して何のコミットメントも示さず、「小さな二次的問題に対処」していたという。
こういった事柄すべてが、米軍撤退の際に、ANDSFの部隊が数日で文字通り「溶かす」役割を果たし、タリバンが首都カブールやその他の地域を素早く支配することを可能にしたと、報告書では述べられている。ソプコ氏は、米政府高官や元アフガン政府高官を引用して、軍の撤退プロセスが「突然のことで調整がなされていない」ため、多くのアフガン人は、米国がタリバン政府に国を譲り渡したという印象を持っているという。
さらに、それまでアフガニスタン政府軍に引き渡されていた兵器や装備は、計画の不備や監視が不十分だったために、混乱と混迷を招くことになった。ソプコ氏によると、結局のところ、撤退する米軍はおよそ72億ドル(約9780億円)相当の兵器と軍用機を含む様々な西側諸国の装備をタリバンの手元に残したという。
これよりも前、ロシア連邦安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記は、米国は米軍がアフガニスタンに駐留した20年の間に現地で不安定化の火種を作り出し、国際テロ組織の活動を促したとの考えを示した。
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