法案などによると、クリル諸島の経済特区の参加企業には、マガダンの経済特区で現在導入されている特恵関税制度が適用される。とりわけ、ロシア財務省関税政策局のニキータ・ゾルキン局長は、クリル諸島の経済特区においては、「参加企業」という言葉に新たな解釈がなされると説明している。
つまり、これは何らかの許可証を受け取る義務がある企業ということではないという。クリル諸島の経済特区の参加企業は、あらゆる場所で、どんな工場をも開設し、この地域に商品を外国製品と位置付けられた商品を運び入れることができ、これをクリル諸島以外のロシアの地域に持ち出す際には通関手続きが必要となる。しかし、参加企業はこの通関手続きを簡素化できる権利を付与され、また法人税も免除される。
新たな経済特区の創設は地域の経済発展に刺激を与えるものとなるのか、また、ロシアとの平和条約締結と領土問題の解決に向けた序章として、かつてこの島での共同経済活動の実施を提案していた日本側からはどのような反応が予想されるのか、「スプートニク」は、ロシア戦略研究所のミハイル・スモリン副所長に話を聞いた。
スモリン氏は次のように述べている。
「サハリンと異なり、クリル諸島は急激な経済成長が期待できるような地域ではありません。クリル諸島は人口も少なく、気象学的な条件から、容易に辿り着くことができない場所です。しかし、もちろん、漁業の発展という意味では、とても喜ばしい、かなり以前から期待されていたニュースです。
もっとも、わたしが思うに、そのためには特恵条件だけでなく、国家からの投資が必要です。もし国家が投資を行えば、これは地元の漁業と水産加工業に大きく貢献するものとなるでしょう。クリル諸島周辺の水域は、魚も海洋植物も非常に豊かですが、問題はその加工と輸送です。そこで、地元の漁業関係者たちは、内部の市場を守ることよりも、外部の市場を相手に活動することを好んでいます。
今回の新たな決定は、地域内の市場に目を向けさせることになります。実際、経済特区の創設はまさにこれを目的としたもの、つまり、地元のビジネスに刺激を与えることです。これから我々は独自に、自分たちの采配で、国の利益のためにこの地域を発展させていくことになるのです」
一方、日本の反応についてスモリン氏は、もちろんこのニュースは日本を喜ばせるものではないと述べている。
「なぜなら、これはクリル諸島がロシア固有の島であるということを認めたという最終的な結論だからです。我々はもはや日本との経済協力には期待したりせず、日本の立場を気にせず、自力でこの地域を発展させていくのです。
我々はいわゆる『領土問題』について、2島返還か4島返還かとか、妥協点を探るとか、何らかの譲歩をするなどという実りのない長い対話を行うことはもうありません。日本は平和条約を締結し、この問題を何らかの形で解決する機会を逸したのです。関係断絶の一歩を踏み出したのは、我々ではありませんが、我々は自分たちの領土を自分たちの采配で管理する権利を主張していきます」
クリル諸島における経済特区に関する法が採択されれば、公式に発表された20日後に発効する。
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