ボルトン氏は、米紙ワシントン・ポストに寄稿した中で「米国は今、2つの主要な核敵対国に直面しており、緊急に核弾頭や核兵器運搬システムの要件を見直すべきだ。米国は、2つの敵に対峙する前に、核兵器の備蓄量はどの程度の規模であるべきかという根本的な疑問を解決する必要がある」と記した。
またボルトン氏は、米国がロシアとの「核対決」に直面し、仮に「勝利」した場合、直ちに中国との核対決に直面する可能性があるとしている。同氏が考えるもう一つの可能性は、米国と核武装した同盟国が、露中と同時に対立することである。
その上で、ボルトン氏は、軍備管理合意が想定している他国(露中)と同じ数の核弾頭でやりくりできると主張することは、米国にとって「自殺行為」であるとし、核弾頭数の見直しの必要性を説いた。
また、イランや北朝鮮など、西側諸国において核兵器保有を目指しているとされる国は、ロシアや中国を友好国と見なしているのに対し、米国、英国、フランスをしばしば敵国と見なしていると指摘。
ボルトン氏は「核兵器を手にした上で、必要であればその数を制限する方が、十分に核兵器を手にせずにロシアや中国に将来の関係を左右されるよりはましだ」と付け加えた。
ロシアのプーチン大統領は2月21日、ロシア連邦議会で年次教書演説を行い、新戦略兵器削減条約(新START)への参加を停止すると表明。同条約から脱退するわけではないと強調した。プーチン大統領は「北大西洋条約機構(NATO)には米国という核大国が1か国加盟しているだけではない。英国やフランスも核兵器を保有している」と述べ、新STARTの議論に戻る前に、ロシアはフランスおよび英国の核兵器をどのように考慮するかを理解する必要があると指摘した。
米国はロシアのこの決定に失望を示したが、核兵器使用に向けた準備の兆候はなく、自国の抑止力の準備態勢を強化する根拠はないとした。
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