露中首脳会談 プーチン大統領と習主席、共同声明に署名 日本にも言及

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席による露中首脳会談が21日、モスクワのクレムリン宮殿で行われた。両首脳は経済協力とパートナーシップの深化の計画に関する2つの共同声明に署名した。
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会談はラブロフ露外相やナビウリナ露中央銀行総裁らを含む少人数会合と、より多くの出席者を加えた拡大会合の2形式で行われた。
会談では二国間関係のほか、安全保障や国際関係、ウクライナ情勢についても話し合われた。採択された共同声明には、現在の国際情勢における露中の立場が色濃く反映されている。また、福島第一原発の処理水排出問題や旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器など日本への言及もあった。共同声明の主な内容は以下の通り。
主権、領土保全、安全保障といった互いの国益を守るための相互支援を進める
海・空における共同パトロール、共同軍事演習を定期的に実施する
ウクライナ危機の更なる悪化の回避を求め、緊張のエスカレーションや軍事行動の長期化を招くすべての行為を停止するよう呼びかける
アジア太平洋地域の国々と北大西洋条約機構(NATO)の関係強化に大きな懸念を示す
NATOに対し他国の主権と国益を尊重するよう呼びかける
ある国が別の国に価値観を押し付けることに反対する
国連安保理を通さない、一方的な制裁に反対する
朝鮮半島情勢に懸念を表明し、すべての関係国に冷静さと自制を呼びかける
ロシアは「一つの中国」原則へのコミットメントを再確認し、台湾が中国の一部であることを認める
日本に対し、中国に遺棄された化学兵器の廃棄を可能な限り早期に完了させるよう呼びかける
福島第一原発からの放射能汚染水の海洋放出に関する日本の計画について、深刻な懸念を表明する
会談後に行われた共同会見でのプーチン大統領の発言は以下の通り。
西側諸国とウクライナの準備が整う日が来れば、中国のウクライナ和平案が和平の土台として取り入れられるかもしれない
習主席との会談は成果のあるもので建設的だった
両首脳は世界の緊張の高まりや不公平な制裁について確認した
露中は特権を得るために他国の利益を侵害することに断固として反対する
ロシアは国際社会において、将来的な大ユーラシアパートナーシップの形成に向けて作業を進める
ロシアは中国への石油や天然ガスの輸出を増やす用意がある
肉や穀物といった食料分野でも露中貿易増大の可能性はある
露中の二国間関係は歴史上最も高いレベルにある
【視点】2つの超大国を接近させたのは西側 ロシア人専門家
一方、習近平主席の発言概要は次の通りとなっている。
プーチン大統領との会談は率直で友好的なものだった
中露の繋がりは共同世界秩序のために死活的に重要な意味を持っている
貿易の増大は、ロシアと中国双方にとって社会経済発展のはずみとなった
中国とロシアは、国連安保理の常任理事国として、国際関係の基本的な規範を引き続き維持する
中国はウクライナ危機について国連憲章の原則に基づいて動いており、公平な立場にある
中国はウクライナにおける紛争解決の問題に関して、和平と対話を支持する
中露はIT分野などを含む貿易を促進することで合意
プーチン大統領と様々な形式での緊密なコンタクトを維持することを期待
中露は多極世界の形成のため、建設的に力を注ぐ
習近平国家主席は20~22日の日程でロシアを公式訪問。20日には両首脳が一対一形式での非公式の会談を4時間半にわたって行っていた。
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