トゥトベリーゼ氏は、「何が起きたのか、本当にわからない。チーム全体がそれを理解しようとしていたし、ワリエワが検査を受けたロシア選手権でのカメラ(映像)も見た。そして、サンプルが採取されてから結果が発表されるまでに、なぜこれほど時間がかかったのか我々は驚いている。私の選手たちは、常にクリーンなアスリートだった。このような非難は侮辱的だ」と述べた。
ドーピング疑惑、これまでの流れ
2021年12月の露選手権当日に行われたドーピング検査でワリエワ選手から禁止薬物であるトリメタジジンの陽性反応が出た。これが明るみに出たのは2022年北京冬季五輪開催中のことだった。このため北京五輪フィギュア団体はロシア代表のチームが金メダルを獲得したものの、表彰式は延期された。ワリエワは当時15歳の「要保護者」で、女子シングルにも出場が許されたものの、4位に終わった。
この問題を調査していたRUSADAの懲罰反ドーピング委員会は今年1月、2021年露選手権でのワリエワ選手の結果を取り消す決定を下し、RUSADA側がWADAに通達していた。この決定で同委員会はドーピング違反があったと認めたもののワリエワ選手自身に「責任・過失はない」としていた。ワリエワ選手は2021年の露選手権での金メダルを剥奪されることになるが、そのほかの競技結果の取り消しや出場停止処分は免れていた。
WADAはこの決定を「誤り」と主張し、CASに提訴。ドーピングの陽性反応が出た試料を採取した2021年12月25日から起算して4年間の出場資格停止と、2022年北京五輪の団体金メダルを含む全ての大会の結果の無効を求めている。また、国際スケート連盟(ISU)も同様にCASに提訴している。