ウクライナでの露特別軍事作戦

「全面的な動員と指導部交代」米情報機関は紛争長期化がウクライナに与える影響を懸念している=メディア

米国防総省国防情報局(DIA)は、ロシアとウクライナの和平交渉が年内に始まる可能性は低いと考えており、紛争がさらに長期化してウクライナで社会的、政治的変化が起こる可能性を懸念している。ワシントン・ポスト(WP)紙がネット上に流出した米情報機関の機密文書を引用して報じた。
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同紙によると、紛争がさらに長期化する見通しは「双方の部隊、兵器、装備品の数の詳細な分析」を踏まえて評価された。また流出した文書では、「効果的な作戦」を実施するためのリソースが不足しているため両国は2023年末までに「わずかな」領土取得しか達成することができないと予測されているほか、「最も可能性の高いシナリオ」はどちらの側も「決定的な優位性」を獲得できない状況だと指摘されている。
一方、紛争のさらなる長期化と「消耗戦」の継続はウクライナ国内で失望を呼び、「当局交代の可能性を高める」という。なお、これが政治指導部の交代なのか、それとも軍指導部の交代なのかは明確にされていない。文書ではまた、ゼレンスキー氏率いるウクライナ大統領府とウクライナ軍のザルジニー総司令官の間には緊張が存在していると指摘されている。WPによると、ウクライナ大統領府はザルジニー氏を「政治的脅威」とみなしているという。
米国人記者シーモア・ハーシュ氏による調査
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WPはまた、米情報機関はウクライナで「全面的な動員」が行われる可能性を排除しておらず、またロシア領土の攻撃に「もっと頼る」可能性もあり、米国はこれを心配せずにはいられないと報じている。

「米国はウクライナ政府に交渉させないというメッセージ」

サイト「祖国のアーセナル」の編集長で軍事専門家のドミトリー・ドロズデンコ氏は、ラジオ・スプートニクの番組で流出した機密文書についてコメントした。

「特殊軍事作戦が始まってから一連の交渉が行われた。交渉によってウクライナにとって、そしてそもそもこの状況にとって最小限の損失で終わることができたかもしれないが、具体的に西側の指示で(交渉が)中断されたことがわかっている(中略)したがって、この情報は『我われはウクライナに交渉させない』というメッセージとみなすことができる。つまり、紛争はまさにその一方側によって長期化されるということだ。しかし、この課題にウクライナがどれだけ対処できるか、その点は大いに疑問だ」

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