【視点】G7軽井沢外相会合ではどのような合意がなされたか?

長野県軽井沢で開かれていたG7(主要7カ国)の外相会合は、4月18日、共同声明の採択を以て閉幕した。共同声明は、一連の重要な国際問題をめぐる加盟国の懸念や見解、意向が反映されたものとなった。外相らはG7諸国の連帯を改めて表し、世界の安全保障問題の解決に向けた集団的行動を行っていく意向を確認した。G7諸国は、今回の共同声明に記されたグローバルな問題を一つでも解決することができるのか、「スプートニク」は高等経済学院、国際政治世界経済学部のアレクサンドル・ルキン教授に取材した。
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ウクライナとの紛争国としてのロシア

外相会合は、各国は、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続する立場を確認した。外相らは、共同声明でロシアを厳しく非難し、ロシアに「すべての軍および装備を即時かつ無条件にウクライナ領土から撤退する」よう呼びかけるとともに、「第三者によるロシアへの武器供給を防ぐため、連携して対処し、軍事行動に物的に支援をおこなう者に対抗する策を講じるため」協力を強化していくことで合意したことが明記された。
一方、軍事行動が終結するまで、ロシアの資産の凍結は継続されることになっているが、制裁によって、ロシアは外貨準備の半分である約3000億ドル(およそ40兆4600億円)を引き出せない状態にある。これに関連して、外相らは、「いかなる紛争の解決もロシアが自身のもたらした損害について支払うことを確保しなければならない」と強調した。
【まとめ】G7外相会合が閉幕 共同声明の内容は?
アレクサンドル・ルキン氏は、「この立場において、欧米諸国は何も変わっていない」と指摘する。
「欧米諸国はこれまでも、ロシアに対する制裁の圧力を継続し、ウクライナを武器と資金で支援するとの声明を表しており、実際そうした行動をとっています。今回、目新しいことといえば、これまでロシアに対して最小限の制裁しか発動してこなかった日本が、欧米諸国と完全に連携するようになったことでしょう。
G7は中立を保っている国々をG7側に引き入れ、ロシアに何らかの軍事目的の物品を供給している国々にも制裁を課そうとしています。これは、中国、サウジアラビア、イランなどに対し、ロシアとの協力の深化を抑制させるための警告のようなものです。しかし、このようなやり方で平和を取り戻すことはできず、ただ親欧米派と反欧米派に分かれた世界の分裂を激化させるだけです」

世界は、中国の核潜在力に対する対処法を知らない

G7諸国の中で唯一アジアを代表する日本は、今回の会合で、中国の力による一方的な現状変更を許さず、国際秩序の維持と強化のために協力していく姿勢を確認することを切望していた。そこで共同声明で、外相らは、中国で行われ、加速している核戦力の拡大に懸念を示し、中国に対し、戦略的リスク低減に関する米国との対話に速やかに関与するよう求めた。
アレクサンドル・ルキン氏はこれについて、「実際これは深刻な懸念です。中国は核大国になろうとしているにも関わらず、その核戦力についてはひた隠しにしており、誰もどのようにしてこれに対処すべきか分かっていません。中国はロシアと米国にははるかに強大な核戦力があるとして、対話を拒否しています。以前、欧米諸国はロシアに対し、中国に影響を及ぼすよう要請していましたが、現在はロシアを関与させず、直接、中国に呼びかけようとしています。しかし、これで中国の立場を変えることなど到底できないでしょう」
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北朝鮮のミサイル発射にはすべての国が反対

G7は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射を非難し、完全な非核化を求める立場を明らかにした。これについて共同声明では、「我々は4月13日の発射を含む、北朝鮮による前例のない数の不法な弾道ミサイル発射を強く非難する。そのいずれもが複数の国連安保理決議に違反している・・・」と記されている。
外相らは北朝鮮に対し、日本、米国および韓国からのものを含め、繰り返し提示されてきた対話の申し出に応じるよう求めた。
アレクサンドル・ルキン氏はこれについて次のように述べている。
「北朝鮮に対して、前例のない条件は提示されていないものの、公式的には、すべての国が北朝鮮のミサイル発射に反対しています。しかし、今回は新たなニュアンスが加わっています。かつては、ロシアが参加する6カ国協議について議論されていましたが、北朝鮮が特殊軍事作戦を支持している今、ロシアがそのような協議に参加するのは適切ではなくなるだろうという点です。
しかし北朝鮮が、この国に対して同情を感じるとはとても思えない国々が参加するような新たな形式の協議に合意するかどうかは甚だ疑問です。誰が北朝鮮に安全の保障を与えることができるでしょう。こうした今の状況は、米国が飽きるまで続きます。それはちょうどベトナムやアフガニスタンで米国が『秩序を立て直す』のに飽きたのと同じように、です。米国は自分たちの政策に展望がないと分かると、撤退するのですから」
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国連は国際連盟と同じ運命を辿るのか?

G7外相会合では、もう一つ、国連改革の問題が取り上げられ、これについても共同声明に明記された。外相らは、国際環境の変化に対処するため、国連の役割を強化する必要があるとの考えで一致した。とりわけ、「拒否権」の行使について指摘し、国連安保理決議の採択をロシアと中国が阻止したことに不満を表し、「拒否権」は非常に限定された特別な場合にのみ行使されるべきだとの立場を示した。
これについてルキン氏は次のような見解を明らかにしている。
「国連は、国連安保理の決定があって初めて行動することができます。しかし、この問題を誰かが取り上げても、中国とロシアは『阻止』します。理論的に、国連総会の決定で国連安保理から特定の国を除外することは可能です。国連からの除名は国連憲章で定められています。
こうした前例は以前にもありましたが、この手続きは非常に複雑で、もしそのようなことがあれば、国連は、国際情勢への実際的な影響力を失い、国際機関から利害を持つ団体へと変わったことでその存在を停止した国際連盟と同じ運命を辿ることになる可能性があります」
一方、ルキン氏は、今回の会合での成果の中で、唯一、議論の余地のないものとして、核戦争を許さないとした外相らの立場を挙げている。
共同声明では、「2022年1月3日に発出された核戦争の防止および軍拡競争の回避に関する5核兵器国首脳の共同声明を想起し、核戦争に勝者はなく、また核戦争は決して戦われてはならないことを再確認する。
我々は、核兵器のない世界という究極の目標に向けたコミットメントを再確認する」と述べられている。G7の外相らは、核軍縮・不拡散についての協議を、5月に開かれるG7広島サミットでも継続するとしている。
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