研究者らは、ホンジュラス西部にあるコパンのマヤ遺跡(1980年にユネスコの世界遺産に登録)で発見された建築物に使用されている素材を分析した。この遺跡にはロザリラという寺院があるが、この建物は保存状態の良さと複雑なスタッコ装飾を備えているという点で際立っている。今回採取されたすべてのサンプルは、紀元前540年から850年の間に作られたものだという。
研究者らが、サンプルを透過型電子顕微鏡、高分解能X線回折、偏光顕微鏡などの分析技術を駆使して分析を行ったところ、これらの素材には有機化合物が含まれていることが判明した。
研究チームは、当時の人々はマヤが自生する樹木(マメ科のHavardia albicansとブルセラ属のBursera simaruba)の樹皮から抽出した物質を石灰モルタルと石膏に添加したと結論づけている。研究者らは、その物質が可塑性、強度、耐候性を与えていたとみている。
研究者らは、マヤの人々の製作方法に従って現代型のモルタルを作ったところ、当時作られていたモルタルの組成に近いことが分かった。今回の発見は、有機成分を含む現代建築に用いられる材料の開発に役立つ可能性があるという。
これより前、メキシコのユカタン半島では、マヤ文明の中心地「チチェン・イッツァ」で、1000年以上前に使用された石製スコアボードが発見された。
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