産経新聞などによると、今回了承されたのはラインファーマ製の「メフィーゴパック」で、早ければ月内にも正式承認される。対象は妊娠9週0日(63日)以下の女性。複数の錠剤を投与し、ホルモンの働きや子宮の収縮を制御することで中絶を促す。
国内で中絶を希望する妊婦120人が参加した治験では、服用後24時間以内に93パーセントの中絶が確認された。副作用は嘔吐や下腹部痛などの軽・中度のものがほとんどだったが、異常出血や細菌感染などの重度のものも4例報告されたという。
これまで、日本国内の人工妊娠中絶の方法としては、手術が必要な掻爬法(そうは法、胎児を掻き出す方法)と吸引法(器械で吸い出す方法)の2種類しか認められていなかった。だが、今回の方法はより母体への負担が少なく、選択肢が増えることで注目されている。世界保健機関(WHO)もより安全な方法だとして推奨している。
メフィーゴパックの承認については、これまでに厚労省は、「社会的関心が高い」として一般の意見を募集するパブリックコメントを行っていた。約1万2000件もの意見が寄せられ、この分析や整理のため当初より承認の日程が遅れていた。
このニュースにインターネット上のコメント欄では、「中絶するだけで心が傷つくのだから、少しでも体に負担がかからない方法を選べるようになるのは歓迎すべき」「この薬を飲んだからって、楽に中絶できるわけではないが、今までの手段より、リスクが少ない手段」などと承認を肯定的に捉える声が多くみられた。一方、「望まない妊娠自体をなくしていく取り組みも必要不可欠」「性教育も大事だと思う」との指摘もあった。
関連ニュース