2022年における世界の軍事費は過去最高　一方で日本は？

その報告書によると、世界の軍事費は2013年から2022年までの10年間で19％増加し、2015年以降では毎年増加している。軍事費が最も多いのは米国、中国、ロシア、インド、サウジアラビアで、これらの国だけで世界の軍事費全体の約63％を占めている。

SIPRIは、軍事費の増加はロシアとウクライナがこの領域で支出を増やしたことによると説明している。同研究所は、ロシアの軍事費は9.2％増加し、864億ドル（約11兆6000億円）に達したと推定している（SIPRIの報告書には、ロシアからの公式情報がないためこの数字は正確でない可能性があるとの但し書きがある）。一方でウクライナの軍事費は、640％増加し440億ドル（約5兆9100億円）に達し、国としては1949年以降で最も高い伸び率を示した。しかし、この調査では、他国からウクライナ政府への無償援助は考慮されていない。

紛争を背景に、欧州、アジア、オセアニアの多くの国も軍事予算の見直しを決定した。特に欧州の軍事費は13％増の4800億ドル（約64兆4800億円）に達し、過去30年間で最も高い伸びとなった。

米国の軍事費は8870億ドル（約119兆円）で、トップの座を維持し続けている。SIPRIの報告書によると、増加分の多くは40年間続いた記録的なインフレによるものであり、実質的な増加分は0.7％だという。さらに米国は、2022年にウクライナに199億ドル（約2兆6700億円）の軍事支援を行ったが、これは、一国が他国に提供した軍事支援としては冷戦以降で最大額。

SIPRIの報告書によると、2022年における中国の軍事費は2920億ドル（約円）で、2021年よりも4.2％増加した。中国政府は過去28年間、軍事費を増やし続けており、これほどの長い期間増加し続けているのは他に例がない。

中国の数字からは大きく離れるものの、アジア地域で中国と競い合っているのは、軍事費ランキングで10位に位置する日本。日本の防衛費は5.9％増の460億ドル（GDP比1.1％）で、これは日本の防衛費としては1960年以来で最大。SIPRIのアナリストは、日本政府が2022年、軍事力を高める野心的な計画である新たな国家安全保障戦略を採択した点を指摘している。同研究所で軍事費と武器生産プログラムについて研究するシャオ・リン氏は、「日本が戦後、軍事費と軍事力に課していた制限は、緩和されたようだ」と述べている。

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