再び円安が加速、約15年ぶりのユーロ高 背景には何が

2022年の歴史的な円安から遠ざかったと思ったのも束の間、再び円相場が下落している。2日の東京外国為替市場では一時1ユーロ=151円台前半の値をつけ、2008年以来、14年7カ月となる水準を更新。対ドルでも1ドル=137円台まで下落するなど円安傾向が進んでいる。
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為替相場は各国の政策金利の違いに大きく影響を受ける。例えば、一般的に米国の政策金利が上昇すればより利回りが見込めるドルが買われ、円売りが進み円安になるとされる。
先月28日、日本銀行の植田和男総裁は就任後初の金融政策決定会合を開いた。そこで、2016年1月に導入を決定した0.1%のマイナス金利を維持する方針を示し、このごろ退任した黒田東彦前総裁の金融緩和路線を引き継ぐ姿勢を明確にした。
世界各国で高インフレが続くなか、各国の中央銀行は金融引き締め(利上げ)を行うことで物価上昇を抑えようとする流れが続くが、これまで日銀は頑固なまでの金融緩和(利下げ、低金利政策)を続けてきた。黒田前総裁も退任直前に「現在の金融緩和はメリットが副作用を上回っている」と評価していた。
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一方、欧州中央銀行(ECB)は3月、政策金利を0.5ポイント増の3.5パーセントに上昇させている。ロイター通信によると、ECBの金融引き締めは当面続くとみられており、市場は今月4日に開かれる政策決定会合で0.25~0.5ポイントの利上げが決まると観測している。
また、ブルームバーグによると2日、豪州中銀は「サプライズ利上げ」を実施。こうしたなか、米国の中銀にあたる連邦準備制度(FRB)も、これまで続けてきた利上げを打ち止めることはないだろうと指摘されている。そのため、はっきりと低金利政策を続けると表明している日銀だけが「世界で唯一金融引き締めをしていない中銀」として目立ってしまい、円安が加速しているという。
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