人民元のグローバル化が進んだ理由
専門家らは、世界最大の広葉樹パルプ製造メーカーであるブラジルのスザノ製紙パルプ(Suzano SA)も、近日中に中国向けの輸出契約を結ぶ際に中国元決済に完全に移行するものと見ている。グローバルタイムズはその理由として、スザノ製紙パルプにとって中国は最大のバイヤーであり、同社のパルプ生産の最大43%を消費しているからと指摘し、ブラジルで国際決済を人民元に切り替えようとしているのは、石油からニッケルまで、さまざまな商品を中国と取引している中小企業も同様だと書いている。ブラジルのほか、パキスタン、イラク、アルゼンチンも今年2023年中に中国との決済を人民元に切り替えることを望んでいる。
グローバルタイムズによると、人民元の競争力が上がり、グローバル化が進んだ背景には、中国経済が着実に発展していること、金融市場が開かれていること、新しいクロスボーダー決済システムの開発への継続的な取り組みがある。IMFはすでに2022年の段階で通貨バスケットでの人民元のウェイトを10.92%から12.28%に引き上げていた。グローバルタイムズは、これは人民元への自由なアクセスが拡大しているという認識が世界にあることを反映した結果だと指摘している。
グローバルタイムズは、中国と取引する際に安定した人民元の為替レートを選び、中国の力強い経済発展を利用しようとする国、経済組織がますます増えていると指摘している。ドルは反対に魅力を失いつつある。それは米国が国内経済の矛盾を解決するために金融政策を急激に変動させ、その結果、金融市場に混乱を招き、危機状態の債務をさらに悪化させ、深刻なインフレを起こすなど、ネガティブな副作用をもたらしているからに他ならない。
BRICSの単一通貨
ブルームバークは国際通貨基金(IMF)の予測を引用し、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の世界GDPへの貢献度は2028年までに世界全体の33.6%になると報じている。ブルームバークは、これだけ高い経済ポテンシャルと協力の豊富な経験を有すBRICS諸国にはドルによる相互決済は必要ないため、諸国は自国通貨による決済に切り替える時期が到来という結論に達したと書いている。
南アフリカのナレディ・パンドール外相はブルームバーグに対し、今年2023年8月に南アフリカで開催のBRICSサミットでは、首脳らはさらに踏み込んで、BRICSの単一通貨の導入の可能性について討議する構えだと語った。南アフリカ中央銀行のレセジャ・ガニヤゴ総裁はブルームバークに対し、単一通貨が創設されればBRICSの統一銀行の創設が促されると指摘している。ただし、総裁いわくBRICS諸国は地理的に分散しているため、単一通貨の創設には多くの時間と労力が必要になる。
スプートニクは以前、BRICSへの加盟を目指す国が増えている理由として、米国の押し付けに従いたくないと意思表明だとする専門家の見解を紹介している。