【視点】露中に背を向けた欧州は米国による一極集中の世界で衰退する=ノーム・チョムスキー

ウクライナ危機を外交で解決する見通しは暗く、現状では総力戦により人的資源の削り合いとなる可能性が高い。そしてロシア産エネルギーと中国市場を失った欧州は米国による一極集中の世界で衰退する運命にある。米国の思想家、ノーム・チョムスキー氏がスプートニク通信の取材に応じた中で指摘した。
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チョムスキー氏は取材の中で紛争終了のシナリオを複数想定した。仮に外交による解決が不可能な場合、2つのシナリオがあるという。最初のシナリオは総力戦で、互いを殺戮しあうパターン。次のシナリオは一方が降伏するパターン。ただし、チョムスキー氏はロシアが仮に敗北の危機に瀕する場合、事態をエスカレートさせる上で無限の可能性があると警告した。一方、米国の目的はロシアを極度に弱体化させてウクライナ側に有利な条件を用意させることである以上、紛争を継続させることは間違いないと指摘した。
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いずれのパターンでも、「ウクライナ人の運命を代償にすることで極めて過激なゲームを進めることになる」と警告。こうした条件下の「戦争」は膨大な人的損失を伴ってエスカレートすると分析した。
また、チョムスキー氏は欧州とロシアの関係にも着目した。仮に米国による一極集中の経済システムに欧州が参加したままロシアとの取引を停止する場合、その失墜は目に見えているという。この場合、欧州はロシアの安価なエネルギー燃料を失うことによりその産業は衰退するほか、ロシアから遮断されることで魅力あふれる中国市場へのアクセスも失うとのこと。そのため、紛争によりロシアと欧州が取引を止めることで得をするのは米国だけだと評価した。

「ロシアがウクライナに侵攻したことで米国はまたとないプレゼントを受け取った。欧州がワシントンのポケットに飛び込んできて、一極集中への関与を深めたのだから」

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