円相場、一時1ドル=145円まで下落 「口先介入」で歯止めかかるか

30日の東京外国為替市場は、円相場が一時1ドル=145円まで下落し、昨年11月以来約7ヶ月ぶりのドル高円安水準を更新した。市場では政府や日銀による為替介入を警戒する動きもあるなか、すでに「口先介入」による一進一退の攻防が始まっている。
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市場データによると、30日午前には一時1ドル=145円台までドル高円安が進んだ。29日に発表された米国の経済成長率や失業率などの経済指標は、市場の予想を上回る強い数値だったことにより、米国の引き締め継続と日本の緩和継続が意識されたためとみられる。
一方、毎日新聞などによると、鈴木俊一財務相は30日、「最近は急速で一方的な動きも見られる」と述べ、為替介入の可能性を示唆する「口先介入」で円安の動きをけん制。発言を受け、円相場は再び144円台後半に戻った。
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市場介入はその場しのぎ

日本の各メディアによると、松野博一官房長官は26日、「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視している」と警戒感を表明。財務省の神田真人財務官も28日、足元の円安進行について「行き過ぎた動きに対しては適切に対応する」と為替介入を匂わせることで市場をけん制している。
だが、「口先介入」だけでは円安に歯止めがかかっていないのが現状だ。米国を始め各国がインフレ対策として金融引き締めを維持するか、さらなる利上げを見込んでいるのに対し、日銀は異次元の金融緩和を継続する姿勢を崩していない。日銀は「世界で唯一金融引き締めをしない中銀」として目立ってしまい、警戒感の表明は時間稼ぎにしかなっていない。
昨年の円安時には1ドル=145円あたりで政府・日銀が為替介入に踏み切っている。現在も市場で為替介入に対する観測が高まっているのは確かだが、実際に行ったとしてもその場しのぎの対応にしかならないという声が専門家や市場関係者からはあがっている。日銀が金融政策を見直す気がない以上、円安の根本的な要因は解消しないのだ。
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