ロシア人軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏は、欧米のマスコミがここ数週間、ウクライナ軍の反抗の問題点について報じていると指摘し、この傾向は7月11日から12日にヴィリニュスで開催のNATOサミットを目前に控えていることと関係があるとにらんでいる。
「むこうは、自分たちの軍産複合体を合わせれば、ロシアをはるかに凌駕すると考え、さっさと勝てるはずだとふんでいた」
レオンコフ氏は、欧州の軍産複合体は過去数十年、徹底的に首を絞められた状態にあったと語る。
「ゼレンスキーはブルガリアに弾薬を乞いにきたが、もらえなかった。ブルガリアは工場を稼働させたが、必要なレベルまで生産能力を上げることはできなかった。それに弾薬はブルガリア自身にも必要だ。独のラインメタルでさえ、当初、宣言された量の弾薬の生産に漕ぎつけなかった」
レオンコフ氏はまた、ロシア軍が西側諸国の装備を多く破壊し、ウクライナの予備軍に手痛い打撃を与えていることを指摘している。一方でNATO諸国自身も装備に問題を抱えている。F-16の納入は延期。防空システムは自国の防衛にも必要であるにもかかわらず、もう予備は尽きている。
ロシア軍の優位性 欧米はどう考える
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス付属の外交政策シンクタンク「LSE IDEAS」のアナリスト、ヴーク・ヴクサノヴィチ氏はニューズウィークからの取材に対して、ウクライナ軍には反攻には絶対に欠かせない空軍の優位性が欠如していると指摘している。それに対して、ロシア軍は攻撃ヘリコプター「Ka-52 アリガートル」や無人機「ランセット」といった自前の軍備を反攻を抑えるために有効に使っている。
ヴクサノヴィチ氏は、西側がウクライナの反攻に楽観的だったのはすべて、NATOはウクライナ側に訓練と装備を提供したと考えていたからだったが、十分に要塞を固めた敵に攻撃を仕掛けるという戦闘形態が最も難関であることを考慮していなかったと指摘している。
ロシアは、ウクライナが反攻の準備をしている間に1000キロに及ぶ前線に沿って要塞化された防衛線を築いた。加えて、砲兵地帯と地雷原を作ることで反攻開始時にウクライナ軍が大成功を収めぬように妨げた。
スプートニクは、ウクライナ軍はロシア軍の強固な防衛線から、反攻が失敗するのではないかと恐れ始めたと報じている。
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