同紙によると、これまでに日本は600万円を超える高級車のロシアへの輸出を禁止してきたが、今回の規制強化によって対象は大きく広がる。新たな制裁対象となるのは排気量1900ccを超えるガソリン、ディーゼル車に加え、全てのハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車となっている。規制強化後に輸出できるのは一部小型車に限定される。
政府は7月中にも閣議決定し、早ければ8月にも適用するという。
これまでに米国や欧州連合(EU)も同様の制裁導入を発表しており、同紙は「日本は米欧と足並みを揃えて経済制裁の効果を高める」と指摘している。言い換えれば欧米の同調圧力に屈し、追従する形となった。
自ら牙城を崩す日本政府
2022年の日本からロシアへの中古車輸出は20万台で、全体の約2割を占める。輸出額でみても約2500億円で、ロシアは日本の中古車輸出額全体の26パーセントを占める最大の顧客だ。新たな制裁が導入されれば、その額は約60パーセント減の1000億円程度にまで落ち込むとみられている。
従来、ロシアでは日本車が高い支持を得てきた。露自動車産業の調査会社「オートスタット」の統計によると、過去には中古車輸入に占める日本車の割合は9割を超えていた。2022年1~11月には58パーセントにまで下がっているが、依然人気は高い。
ロシアではこれまで、外国自動車メーカーの現地生産が盛んに行われてきたこともあり、国内の自動車登録台数の65パーセント(2022年7月1日時点)が外国メーカーのものだ。だが昨年以降、トヨタ、日産など日本メーカーを含む西側企業は、ロシア市場から撤退。その現地工場の多くは露メーカーに売却されたため、現在は純国産自動車への代替が進みつつある。
中古車は並行輸入の対象品に指定されており、ロシアの顧客が中央アジアや中国などを経由して日本車を購入し続けることは可能だ。一方で、ロシア市場への日本車の流入減少は免れず、ロシア人の日本車離れが進むのは必至だ。
日本政府の制裁により、日本の自動車業界がロシアで長年にわたって築いた足場は崩れかけている。日本が去ったあとの穴は、ロシア製や中国製の自動車が埋めることになるだろう。
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