クラスター爆弾の製造、移転、使用などを禁止するオスロ条約(クラスター爆弾禁止条約)は、日本を含む世界123カ国が署名している。米国やウクライナ、ロシアは参加していない。ペンタゴン(米国防総省)は前線のウクライナ軍が戦況を打開し、ロシアの防衛線を突破するのに役立つとみなしている。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、ウクライナにクラスター爆弾が供与されれば、ロシア側もウクライナの部隊に対し同じ兵器を使うと宣言している。
クラスター爆弾とは
専門家によると、クラスター爆弾とは空対地、地対空兵器の一種で、ロシア語では「カセット砲弾」と呼ばれる。大きな母弾が上空数十メートルで開き、中に入れられた大量の子弾を半径数百メートルの範囲に散開させる。母弾の「カセット」は空中で小型パラシュートを開き落下する。その後小型爆弾が飛び出し、地上付近で爆発する。この結果、被弾範囲が広がり標的への命中度も増すというわけだ。
クラスター爆弾は、航空機、大砲、多連装ロケット砲、戦術ミサイルシステムなど様々な発射装置から発射され、屋外の敵の人員や軽装甲車、滑走路、鉄塔への攻撃のほか、化学・生物兵器の散開などにも利用できる。
クラスター爆弾使用の歴史
世界初のクラスター爆弾は、第二次世界大戦中にドイツ空軍がソ連軍の攻勢を遅らせるため使用した「SD2」で、別名「バタフライ(蝶々)爆弾」と呼ばれる。その後は米国が朝鮮半島、ベトナム、ラオス、アンゴラ、アフガニスタン、イラクなどの戦場で積極的に使用した。英国はアルゼンチンとのフォークランド紛争で、アルメニアやアゼルバイジャンもナゴルノ・カラバフ紛争で使用している。
クラスター爆弾の何が危険なのか
クラスター爆弾の信管は不完全なことが多く、不発率が10~30パーセントと高いことで知られている。被弾した土地を不発弾から守るということは不可能に近い。それらは数十年にわたり地中に紛れ、広大な土地を地雷原に変える。その後、子どもを含む民間人が犠牲になったり、負傷したりする危険な状態が何十年も続く。
米国のインドシナ半島侵略から60年が経つが、ラオスだけでこれまでに5万人がクラスター爆弾による不発弾の被害者となっている。そのうち3万人が死亡し、2万人が四肢切断などの重傷を負った。
ウクライナ軍はそれをどこで使うか
クラスター爆弾はもちろん、突撃部隊の兵士にとって危険なものとなる。だが、掩蔽物で守られた部隊に対しては効果があまりない。ロシア軍は現在、防衛作戦を行っているため、ウクライナ軍が米クラスター爆弾を使用するのは特に民間人相手ということになる。これは今までウクライナがやってきたテロリストの戦術だ。
ウクライナは特殊軍事作戦が始まるかなり前の2014年、ドンバスの民間人に対してクラスター爆弾を使用している。この際は対人地雷「レペストク(花びら)」を子弾として詰め込んでいた。米国がクラスター爆弾を供与した今、米国は民間人殺害の共謀者となる。
これまでにスプートニクは、ウクライナが米国だけでなく、他国からもクラスター爆弾の供与を受けていたことを取り上げた。
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