「統一電子ビザは、観光や所用のため、または科学、文化、社会政治、経済、スポーツ等のイベントに参加するために、ロシアを訪問する権利を与えるものです。このシステムの開始により、外国市民はビザの手続きをデジタル化された最も便利な方法で行うことができるようになり、わが国の投資と観光の魅力が大幅に向上することは間違いありません。このプログラムの開始は、ロシアのビザ制度の自由化に向けた重大な一歩です。しかしながら、直行便がないことや、ロシアにおいてキャッシュレスで商品やサービスを購入する機会の制限といった、岸田政権が築いた障壁はまだあります。その上、日本の政治家やマスメディアの反ロシアヒステリーは、外国人のロシア訪問への関心を刺激するのに役立っていません。とは言っても、このようなものは一時的な困難であり、二国間交流の量と質はいずれコロナ前に戻るか、あるいはそれ以上になる、と確信しております」
「ロシアは、日本外務省の危険度でレベル3(渡航中止勧告)が出ているため、各大学は学生を送り出したくないという意向があります。ロシア語を教えている先生は現地事情をある程度把握しているので、そこまで危険ではないとわかっていますが、渡航を推奨することはできません。結果的に、学生さんは、カザフスタンやキルギス、ラトビアなど、ロシア以外を選択せざるを得ません。渡航中止勧告は、直行便の停止やカードが使えないことなど、一般人が渡航するには困難さが伴う、というのが主な理由だと聞いています。しかしいったんレベル3が出てしまうと、それをもとに皆が判断するので、心理的な影響が非常に大きいと思います。一方、社会人は最終的には自分の判断です。今年に入ってからは、ロシア語を勉強している大人で、モスクワやウラジオストクに行かれる方が増えてきました」
「イメージ的に、非友好国の国民はビザがもらえないのでは?と思っている人がとても多いです。ロシアをよく知っている方でもそう考えていますし、ロシアビザは今でも出るのですか?というのは一番多いお問い合わせです。今回の新しい制度である電子ビザは、こういったイメージを払拭するのに役立つかもしれません。ロシアは外国人に対してオープンにビザを出している、という認識を持ってもらうために、良いきっかけではないかと思います。オンラインならビザセンターに出向かなくてもよいですし、ビザ貼付のためにパスポートを預けることもなくなり、時間・費用とも抑えられます」
「実は精神的な障壁が意外と大きいです。まず、一般の方は、普通に間違える可能性があります。ある方は、姓名を反対に入力してしまって入国させてもらえず、どこへも行けずに次の日強制帰国になりました。逆に、ロシアに慣れている人は「本当にこれで大丈夫なのかな」と不安がります。商談などでは観光客が行かない場所、特にウラジオストクなどは港湾施設があるので、大丈夫なのかどうか、運用の範囲がよくわかりませんでした。ですので、ロシアに出張し慣れている方は逆に、通常のビザを取る、という判断をされる方が多かったです。今回はロシア全土が対象ですから、使い方のノウハウが蓄積されて、慣れていくには時間がかかるでしょう」
「ロシアの中でも、ウラジオストクとの交流は特に盛んなため、現地の状況を見に行きたいという人は数多くいます。しかし従来の日本→中東→モスクワ→ウラジオストクというルートや、モンゴル経由のルートだと、時間的にも距離的にも大変で、乗り換えも多いです。その点北京経由なら、より気軽に行けます。さらに、ウクライナ情勢に伴う危険は主に西の方で、レベル上は同じ危険度3であっても、極東ならば実際上の危険はずっと低い、と考える人が多いです。これまでウラジオストクには、夏だけでも100人近く、語学研修やホームステイで送り出していましたので、需要はかなりあります。今後も、極東方面に力を入れていきたいと思います」