「一定期間、この打撃を受けて、ロシアの自動車市場は停滞するでしょう。そしてその影響は、日本の自動車に対する需要が伝統的に高いロシア極東地域だけにとどまらず、日本の消費市場に目を向けている平均的な収入のロシア人にも及ぶと思われます。なぜならすべての制裁はエンドユーザーにとっての自動車価格の上昇につながるからです。
もう一つの問題は、排気量の少ないモデルは今回の制裁対象となっていないものの、日本の一連のメーカーが輸送や支払いの問題、また需要が少ないことなどを理由に、ロシアへの自動車の輸出を自粛しているということです。新しい規制によって、ロシアに輸入される日本の新車および中古車の数は半減する可能性があります。そして、その自動車の一部は第3国を通過してロシアに運ばれることになるため、価格も上昇するでしょう。また、ロシアでは8月から、輸入した車両に対して通関時にかけるリサイクル税を引き上げられることになっており、これも価格の上昇につながるものと思われます。
これにより、消費者たちはより長い期間、同じ自動車に乗り続けることになり、一方、自動車のディーラーは別の供給先を探すことになるでしょう。ロシアのディーラーはすでに韓国や中国の中古車市場に注目しています」
「ほぼすべての制裁は両刃の剣です。2023年の前半だけでも、日本の対ロシア自動車輸出は前年の同じ時期に比べて32.8%増加しているのです。異なるカテゴリーの自動車をすべて合わせると、日本からロシアへの輸出全体の60%を超えています。これはかなりの量です。今回の禁輸によって、日本のビジネスがどれほどの損害を被るか計算することはできませんが、この業界に関わる日本人は今回の措置には反対していると思います。ただ彼らは損害が出ることがわかっていても、政府の要求に従うでしょう」