「ラブロフ外相の懸念は、AUKUS軍事ブロック内でのこの種の核プロジェクトが、最終的には米国がオーストラリア領土にも核弾頭を設置することにつながりかねないという事実に関連しています。米国は欧州5カ国の基地に核弾頭を配備しています。オーストラリアにも原子力潜水艦が配置される可能性はあります。なぜならオーストラリアは、日本と同様、太平洋地域で中国に対抗する米国の主要拠点であるからです。これらは戦術核兵器だが、太平洋における核戦争のリスクを高める潜在的要因であります」
「キャンプ・デービッドでの会談の目的は、防衛分野における共同イニシアチブについての話し合いですが、これまでのところ非常に慎重に述べられています。ご存知のとおり、東京とソウルは現在、ワシントンだけでなく、相互に積極的に連絡を取り合っています。軍事分野を含む日米協力は広く知られています。しかし、AUKUSのメンバーであるロンドンが防衛問題について日本側との連絡を求めていることは注目に値します。2023年3月に英国のベン・ウォーレス国防大臣が東京を訪れたのも理由があります。これらの交流をみると、近い将来、日本と韓国がこの同盟への参加表明をする可能性はあります。ただし、このキャンプ・デービッド首脳会談という早い時期に実現するとは限りません。もちろん、これはアジア太平洋地域での軍拡競争を促進するでしょう。一方、現在でもそのような傾向が進む十分な理由が存在します。そして、核保有国を含むブロック間の軍拡競争(組織化されたものであれ、事実上存在するものであれ)は、核保有国を刺激し、『核の力』を増強させます」
「日本と韓国がAUKUSに加盟することは、今回のサミットでは発表されないでしょう。なぜなら、そのプロセスは時間を要するからです。しかし、米国はこの地域に『東のNATO』のような、より広いブロックを作ろうとしています。日本の新しい国家安全保障戦略が中国を『最大の戦略的挑戦 』と呼んでいることを考慮すると、米国はあらゆる可能な方法で日本を支援し、この方向に押しやろうとしています。そしてこのことは、オーストラリアの軍事防衛化の進展と相まって、この地域と世界に危険な状況を生み出しています。これは中国だけでなく、ロシアにとっても深刻な挑戦です。特に日本は、反ロシア制裁キャンペーンに参加し、わが国との対立の度合いを徐々に高めています」