NHKなどの日本メディアによると、全漁連の坂本会長は計画に「反対であることにはいささかも変わりはない」と述べた。一方、国際原子力機関(IAEA)の報告書などに触れ、「処理水の安全性については理解が深まった」との認識を示した。坂本会長は「我々の願いは漁業を続けていくこと」と強調し、国が全責任を持って長期にわたり必要な対策を講じていくことを求めた。
岸田首相は処理水放出に理解を求めたうえで、「今後数十年にわたろうとも漁業者が安心して生業を継続できるように必要な対策を取り続けることを全責任を持って約束する」と述べた。また、風評被害など処理水の影響に関連する予算については、水産予算とは別で計上することを表明した。また、放出の具体的決定については関係閣僚会議を開催して議論するとした。
8月下旬の放出開始は既定路線になっており、岸田首相は強力な対策や補償を約束することで押し切ろうとする動きもみえる。政府と東電はこれまでに「関係者の理解なしに、いかなる処分も行わない」と、地元漁業者に通達していた。共同通信は「漁業者が反対する中での見切り発車となる可能性がある」と指摘している。
科学的に安全性が証明されたとしても、内外の消費者の理解が進まなければ風評被害の懸念はなくならない。そのため、漁業者としては安全性を理解していても反対せざるを得ない状況にある。スプートニクはこれまでに、海洋放出が日本の水産業にもたらす影響について業界関係者に話を聞いた(記事はリンクから)。
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