ゴルバチョワ選手はSNS上の投稿で謝罪した一方、失踪の理由について具体的な説明はなかった。
「皆さんを驚かせ、心配させてごめんなさい。今私は大丈夫で、愛するコーチとお母さんと家にいます。心配しないでください、私の行動はフィギュアスケートや(コーチの)ソフィア・フェドチェンコさんとは関係ありません。私は自分のチームで練習し、新しい演技で皆さんを喜ばせます。私達は大丈夫です。メディアやブロガーを信じないでください」
ロシア中が大騒ぎ
ゴルバチョワ選手は28日午後、モスクワ市北西部のスケートリンクを出たあと、近くの公園に入る様子が防犯カメラに映っていたのを最後に行方が分からなくなった。29日昼には露メディアが一斉に失踪を伝え、同門のザギトワ、トルソワ、コストルナヤ各選手らもそれぞれSNSを通じて捜索への協力を呼びかけた。
検察は何らかの事件や事故に巻き込まれた可能性もあるとして、行方不明者の捜索の際に行われる「殺人事件」での立件措置を取り、警察や救助犬、水難救助隊などを動員した大規模な捜索が行われた。29日午後には郊外のカフェの防犯カメラに映ったゴルバチョワ選手の様子が確認され、夜にはショッピングセンター内の映画館で警察官によって無事に保護された。
捜査関係者によると、ゴルバチョワ選手は失踪した特定の理由を挙げなかった。誰かといざこざがあったわけでもなく、ただ行方をくらまして遊んでいたと話したという。28日の夜は集合住宅の階段部分で過ごし、29日朝からは店やカフェを回った。その後、一眠りしようと映画館に入ったところを保護された。
謎は深まる
関係者やフィギュアファンらからは無事に見つかったことに対して安堵の声があがる一方、この「お騒がせ娘」に対し厳しい目を向ける人もいる。露フィギュア界の大御所として知られる名コーチ、タチアナ・タラソワ氏は今回の騒動を受け、次のように苦言を呈している。
「こんなことは絶対だめだ。とても無責任だと、皆が分かっている。もちろん、これが彼女の今後のキャリアにも影響しかねない」
インターネット上では、コーチと口論したため家出したとする説など、様々な憶測が飛び交った。結局、本人の口からは腑に落ちる説明がなく、失踪の真相は現時点では謎のままだ。
ゴルバチョワ選手は露南部のクラスノダル出身で、9歳からモスクワでコーチであるフェドチェンコさんの元で暮らしている。母親のエカテリーナさんはモスクワに引っ越したが、離れて暮らしているという。ロシアではフィギュアスケーターがコーチに弟子入りして、共同生活を送ることは珍しいことではない。選手としては今年2月にペルミで行われた露ジュニア選手権で優勝経験もある実力派として知られている。
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