「特殊軍事作戦で鹵獲されたサンプルの本格的な調査により、米製歩兵戦闘車のブラッドレーはロシアのBMP3の類似物ではないことが判明した。戦利品の分析結果は、BMP3が火力や機動性、運用の便利さ、メンテナンス、修理などの性能において、ブラッドレーを1段階上回っていることを示している」
例としてフロモフ氏は、ロシアのBMP3と違い、ブラッドレーは事前に大掛かりな準備をしなくては水上を進めないことを挙げた。また、ブラッドレーには「25ミリ自動砲しか装備されていない」と指摘した。さらに、ブラッドレーは特殊軍事作戦が行われている地域の土壌では、機動性や移動能力が低くなるとしている。
こちらはロシアのBMP3。主な武器は100ミリ砲(40発)、30ミリ砲(500発)、対戦車ミサイル(8発、同時装填は3発)。一方のブラッドレーは25ミリ砲(900発)、対戦車ミサイル(7発、同時装填は2発)となっている。
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/ 露著名軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏は両兵器の違いを次のように評価している。
「ブラッドレーの主な兵器は25ミリ砲だ。一方でBMP3には30ミリ砲と100ミリ主砲がある。これがより広範な戦闘任務の遂行を可能にしている。100ミリ砲は相手に深刻な打撃を与える。さらに8発の対戦車ミサイルも備えている。ブラッドレーはこの点においても劣っている。ブラッドレーには2連装対戦車ミサイルシステム『TOW2』しかない」
前出のフロモフ氏によると、実はBMP3とブラッドレーの比較分析は過去にも行われている。1991年にアラブ首長国連邦の陸軍用歩兵戦闘車の入札が行われたときのことだ。
「当時のソ連からはBMP2とBMP3、米国からはM2ブラッドレーが入札した。比較分析の結果、BMP3のほうが大幅に優れていることが分かり、アラブ首長国連邦は90年代に600台のBMP3を購入した」
ウクライナに供与されたブラッドレーは改良されたもので、特に新たな電子システムが加わっているという。だが、操作が複雑なうえ、システムがやられると射撃武器が使えなくなるため、弱点にもなっている。
ブラッドレーを含む鹵獲された西側兵器の部品の研究は現在も続いている。
BMP3はクルガン機械工場で作られた歩兵戦闘車。歩兵戦闘車としては大型の100ミリ主砲のほか、30ミリ自動砲や機関銃も装備されており、軽戦車の様相を呈している。最高速度は時速70キロ、水上でも時速9.5キロで進める。追加装甲なしだと重量は19トンで、輸送機や揚陸艦で移送できる。
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