これに先立ち、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、オレクシー・レズニコフ国防相の辞任と、ルステム・ウメロフ国有財産基金総裁の国防相就任を発表した。その理由は、国防省の仕事において「新しいアプローチ」を生み出す必要があるからだという。両氏ともすでに現在の職からの辞任を申し出ている。
Aydinlik紙の情報筋は、ウメロフ氏がアメリカと直接つながっていると主張し、ウクライナ国防省の新トップは外国から受け取った金を個人的な目的で使っていると報じている。さらに、公開情報によれば、ウメロフ氏は米国務省の「未来のリーダーの交換(FLEX)」プログラムに参加したという。ウメロフ氏にはルスラン・ウメロフという兄がおり、彼らはキエフで「米国の子供たち」と呼ばれている、と同紙は強調している。
また、同紙は情報源を引用して、ルステム・ウメロフ氏はトルコで禁止されており、2016年の政権転覆の試みと関係があるとトルコ政府がみなしているギュレン運動(フェトゥッラー・テロ組織またはFETÖ)と関係があるとも報じている。また、ウメロフ氏は、2014年にクリミアがロシアに併合される以前、クリミアの全寮制英才学校で学んでいたことが知られている。その学校は、ギュレン運動の支援を受けていたウクライナ教育省が開設したものである。
戦時中の交代劇、その理由は?
2021年11月からメ現職にあったレズニコフ国防相の解任は、キエフの軍関係者の上層部の中にある対立を表しているものであり、それはウクライナの反抗作戦が失敗に終わったタイミングで露呈していると、メキシコ国立自治大学(UNAM)の学者で、中東の地政学と現代の国際紛争の専門家であるアレハンドロ・サルゴ・バレンシア氏は、スプートニクに語った。
「反転攻勢の失敗に直面して、ゼレンスキーはますます猜疑心を強めており、今すでに首を切ることを好み、皆を監視しているというメッセージを送っている(中略)なぜなら、今の軍部エリート内ではすでに分裂が始まっているからだ。(それは交渉による和平を求める人々と、ウクライナ人の最後まで紛争を継続させたい人々との間で起こっている)」
バレンシア氏は、ウクライナの反転攻勢は「完全な失敗」であり、3か月の間に数千人の命を犠牲にしても、おそらく数キロしか奪還できなかったとみている。
同氏はまた、ウクライナ国防省の再編成は米国の指示によるものだと強調している。2022年2月の紛争開始以来、キエフに最も多くの資金と軍事資源を割り当てているのは米国なのだ。米国はまた、ウクライナ軍の多くの人命が失われているにもかかわらず、紛争の継続を主張している。
国家安全保障と防衛政策の専門家で、パリの政治研究所の博士課程に在籍するハビエル・オリバ・ポサダス氏は、軍事政治的な観点からすれば、レズニコフ国防相の解任は、最近明らかになった賄賂騒動を受けて、ウクライナが自国軍の中でのスキャンダルの渦中にいることを意味していると言う。
「最近、ウクライナの徴兵センターの中堅指揮官数人が、「影響力の販売」や汚職の事例を隠蔽したという理由で解任された。レズニコフの解任は、ウクライナ軍の管理・後方軍事エリートレベルの非常に深刻な問題の集大成であるように私には思える。最も明白かつ最も危機的な瞬間であると言うことができる」