「ノルドストリーム」の爆破工作

ノルドストリーム爆破事件 ホワイトハウスがCIAに爆弾設置を命令=ハーシュ氏

1年前に爆破されたバルト海を経由してロシアから欧州へガスを送る海底パイプライン「ノルドストリーム」の爆破事件をめぐり、ピューリッツァー賞受賞経験のある米国人記者シーモア・ハーシュ氏は26日、プラットフォーム「Substack」上で新たな調査報道記事を掲載した。
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ハーシュ氏の記事によると、ホワイトハウスは米中央情報局(CIA)に対し爆弾設置を命じた。CIAの小規模な作戦グループはノルウェー海軍と協力して活動し、即時攻撃ではないがいつでも起爆できるよう予め準備を進めていたという。報告はジョー・バイデン大統領とCIA長官のみにあがっていたとしている。
作戦についてドイツのオラフ・ショルツ首相は知っていたとCIAの一部職員はみなしているという。さらにハーシュ氏は、作戦実行後、書面に残された証拠は全て廃棄されたと指摘している。
一方、米国の動機についてハーシュ氏は、ウクライナ紛争の勝利や停戦とは関係がなく、ノルドストリームの参加者であったドイツをロシア産ガスから引き離すという政治的な意図があったとみなしている。
「ノルドストリーム」の爆破工作
【解説】「ノルドストリーム」爆破テロ:未だに解明されない理由

ノルドストリーム爆破テロ事件

2022年9月26日夜、ロシアと欧州を結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の3つのパイプラインがほぼ同時に損傷した。損傷したのは、「ノルドストリーム1」のパイプライン2本と「ノルドストリーム 2」のパイプライン1本。爆発現場からは異物と爆発物の痕跡が発見された。
2023年2月、ピューリッツァー賞を受賞した米国の記者、シーモア・ハーシュ氏が爆発に関する調査結果をまとめた自身の記事を発表した。ハーシュ氏はこの爆破事件には米国が関与していたと断定したが、これに対して米政権は、ハーシュ氏の結論をナンセンスとして否定した。
3月7日付けの米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、諜報機関の話を引用し、ノルド・ストリームに対する攻撃は親ウクライナ派が仕組んだと報じた。同紙によると、西側諸国は武器供与を行うため、この破壊工作での「ウクライナの痕跡」を隠蔽した。
ハーシュ氏の調査がメディアに大々的に取り上げられなかったのに対して、ノルド・ストリーム事件「親ウクライナ説」はすぐさまメディアに報じられ、これが事件をめぐる流れを急変させた。ハーシュ氏は、こうした西側メディアの報道は、「論理的に一番の(関与がありうる)ジョー・バイデン米大統領」以外の人物に世間の注目を集中させようとするCIAの仕業だと見ている。
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