ナチス非難決議案は、一連のスキャンダルを受け、野党・ケベック連合のイブ・フランソワ・ブランシェット党首が提案していた。
首相「知らなかった」と弁明
渦中の人となっているのは、ウクライナ系カナダ人で過去にナチス・ドイツ親衛隊に所属していたヤロスラフ・フンカ氏。ゼレンスキー大統領のカナダ議会での演説に招待され、第2次世界大戦中に「ウクライナの独立のためにロシアと戦った」人物として称賛を受けた。
ジャスティン・トルドー首相が率いる与党・自由党選出のアンソニー・ロタ庶民院議長は、フンカ氏が親衛隊員だったことを知らずに自らが招待したと説明。国内外の批判を浴び、謝罪した。
一方、トルドー首相は「首相官邸にもウクライナの代表団にも、(フンカ氏の)招待については予め知らされていなかった」とコメント。だが、野党からはトルドー首相も責任転嫁せず謝罪すべきだとの声もあがっている。
ニュルンベルクの被告人が英雄に
国際関係学に詳しいメキシコ国立自治大学のアレクサンドロ・サルゴ・バレンシア教授は、スプートニクに対し、トルドー政権の危機管理能力の欠如に問題があると話す。誰が招待を受け、その人物が称賛されるにふさわしいかを判断し、このようなスキャンダルを防ぐ官邸チームがなかったことにトルドー首相の責任があると指摘している。
また、今回のスキャンダルはウクライナとそのナショナリズムに支持を表明する必要性から説明できると続ける。
「あの人物(フンカ氏)は本来ニュルンベルクにいるべきだったが、今はカナダのような『民主主義』とされる国で公認されている。これは奇妙で恥ずべきことだが、全てが反ロシア化する現在の実態を如実に表している。ゼレンスキーの反転攻勢が完全に失敗した今、彼らはウクライナのナショナリズムを鼓舞する必要性に駆られているのだろう」