問題が明るみになったきっかけはオタワ大学の政治学者、イワン・カトチャノフスキー氏のX上での投稿だった。フンカ氏が親衛隊に所属していた証拠を集め、写真などを掲載。フンカ氏の所属部隊が赤軍と戦っていただけでなく、ユダヤ人やポーランド人、ベラルーシ人、スロバキア人に対する残虐行為に加担していたと指摘した。
その後、米国やポーランドなどの各種メディアにカトチャノフスキー氏のインタビューが掲載され、事実が世に知られることになった。親衛隊員だった過去を「知らずに」フンカ氏を招待したとするアンソニー・ロタ庶民院議長は、国内外の批判を浴び謝罪。議長職を辞することになった。
ジャスティン・トルドー首相は当初、「首相官邸にもウクライナの代表団にも、(フンカ氏の)招待については予め知らされていなかった」と釈明していたが、後に「恐ろしい過ちだった」とナチス称賛を謝罪した。また、カナダ議会全体でもナチス非難決議とフンカ氏への称賛の撤回を進めることになっている。
一連の経緯を知った米著名起業家のデイビッド・サックス氏は、マスク氏が旧ツイッターを買収しなければ、今回のスキャンダルは表に出ることがなかったとの見解をX上の投稿で示している。
「こうしてカナダのナチスの話が暴露された。主要メディアは無視しようとしたが。もし、あの学者さん(編注:カトチャノフスキー氏)が投稿しなかったら、世界が知ることはなかっただろう。そして、トルドー首相は今でも『ロシアの偽情報だ』といって批判の目をそらそうとしただろう。昔のツイッターなら検閲していた可能性が高いと思われる」
マスク氏はサックス氏の指摘に対し「そうだ」と一言、返信する形でコメントした。奇しくも今回のスキャンダルは、Xを「言論の自由の砦」にすると標榜しているマスク氏にとっての宣伝材料になった。マスク氏はこれまで、インターネット上の検閲やX上のアカウントの永久ブロックに反対する立場を表明していた。
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