イスラエル・パレスチナの紛争激化

IAEA、イスラエル・パレスチナ紛争激化で「汚い爆弾」に懸念=事務次長

国際原子力機関(IAEA)のミハイル・チュダコフ事務次長は、イスラエル・パレスチナ紛争のエスカレーションで、研究炉などの原子力施設が攻撃を受ける危険性を指摘した。こうした攻撃があった場合、いわゆる「汚い爆弾」となって周辺に深刻な核汚染を引き起こすことが懸念されている。
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チュダコフ氏は国際フォーラム「ロシア・エネルギー週間2023」で登壇し、中東情勢の悪化を受けてIAEAが懸念していることについて問われたなかで、「汚い爆弾」のリスクについて述べた。

「当然ながら核施設が攻撃にさらされているときには、『汚い爆弾』のリスクがつきまとう。核燃料保存施設に砲弾が命中すればそれが起きてしまう」

ミハイル・チュダコフ
IAEA事務次長
チュダコフ氏は今回の軍事衝突ではイスラエルが保有する研究用原子炉が危険にさらされていると指摘した。イスラエルには原子力発電所はないが、研究用原子炉は少なくとも2カ所にある。
「汚い爆弾」とは何か?

汚い爆弾とは

「汚い爆弾」とは核爆弾を使わず放射性物質を広範囲に拡散する兵器、攻撃の通称。放射性物質を含む砲弾を爆発させることのほか、原発などの民間原子力施設を攻撃するなどして核汚染を引き起こすことも含まれる。
チュダコフ事務次長はこれまでに、2022年3月からロシア軍の保護下に入っているザポロジエ原発に命中すれば、いわゆる「汚い爆弾」と同様の効果を生むと警告していた。
ザポロジエ原発では度重なるウクライナ軍による攻撃で安全性に問題が生じたため、昨年9月にIAEAのグロッシ事務局長率いる調査団が査察。原発の周辺を「安全ゾーン」とすることが定められた。直近ではウクライナ側の攻撃は鎮静化してきているが、依然予断を許さない状態が続いている。
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