「11月9日、アロー 3ミサイル防衛システムの迎撃ミサイルが初めて戦闘で発射された。ミサイルは紅海エリアでイスラエルに向けて発射された標的を効果的に迎撃した。これは、2017年に配備されて以来、アロー3防空システムによって実施された初めての迎撃作戦である」
これに先立つ9日、イスラエル軍は南部エイラトに向けて飛来した弾道ミサイルを迎撃したと発表。イエメン北部を実効支配する親イラン武装組織・フーシ派が放ったものだとみられていた。この際は迎撃に使用されたのがアロー3であったかどうかについては言及されていなかった。
イスラエルの多重防空システム
イスラエルの多層防衛ミサイルシステム「アロー3」は最高レベルにある。最大射程は2400キロで、大気圏外で高度100キロでの弾道ミサイル迎撃が可能とされる。
イスラエルは10月下旬、フーシ派の地対地ミサイルを迎撃するため、従来型のアロー2の使用していた。これらはいずれも、イスラエル領内に到達する前に紅海付近で撃墜されている。アロー2も弾道ミサイルを迎撃するように設計されているが、速度、射程距離、適用高度の点でアロー3よりは性能が劣る。
イスラエルの多層防衛システムの土台となる2つの層は、短中距離ミサイル・ロケット弾迎撃用の「アイアンドーム」と「デービッドスリング」防衛システムとして展開している。短距離ミサイル用に設計された「アイアンドーム」防衛システムは、通常、ガザ地区からのロケット弾を迎撃するために使用される。
イスラエル・パレスチナ紛争
イスラエル・パレスチナ紛争は、両当事者の領土をめぐる利害に関連しており、数十年間、中東の緊張と対立の震源地となってきた。1947年の国連決議では、ソ連の積極的な役割もあり、イスラエルとパレスチナという2つの国家の誕生に向けた道筋がつけられたが、実際に産声をあげたのはイスラエルだけだった。
先月7日の朝、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマスが、イスラエルをロケット弾で奇襲。南部の国境地帯に侵入し、民間人を含む多くの人々を殺害、一部は人質に取り拉致したことで今回の紛争の火蓋が切られた。
これに対してイスラエル国防軍は、ガザ地区で「鉄の剣」作戦を開始。攻撃から数日後、イスラエル国防軍は国境付近のすべての人口集中地区を制圧し、ガザ地区内の民間施設を含む施設への空爆を開始した。さらに、イスラエル当局はガザの完全封鎖を発表し、水、食料、電気、医薬品、燃料の供給を停止した。
これまでのガザ地区での死傷者は1万500人を超え、そのうち4000人以上が子どもである。負傷者は2万6000人を超えている。一方、イスラエルでは20人のロシア人を含む少なくとも1万4000人が死亡した。現在、ハマスの捕虜となっている人質は200~250人と推定されている。
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