安倍首相は4月17日、沖縄県の翁長知事と会談した。会談は、翁長知事の要請で行われた。この会談を前に、人口の多い宜野湾市から、より人口の少ない名護市辺野古への移設に向けた作業が開始されたことによる争いが生じた。3月、新基地建設に伴う作業の開始と共に、希少なサンゴ礁の破壊に関するシグナルが発信された。沖縄当局は、実際の状況を確認するために現場を訪れ、必要であれば対策を講じる決定を下した。しかし、視察要請は拒否された。このような軽視した態度が翁長知事を憤慨させ、知事は作業の一時停止を命じた。これに対して日本政府は、知事にこのような命令を下す権限はないと発表した。スキャンダルが勃発した。これを静めるために首相の「右腕」と呼ばれる菅官房長官が沖縄に飛んだ。
菅官房長官は、国と沖縄県との対話に期待を表したものの、「国の安全を守るのは国の責務だ。日米同盟と抑止力の維持、危険性除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策だ」と述べた。日本のマスコミが伝えた。翁長知事は、2014年12月に沖縄知事に就任した。翁長知事が断固とした立場を貫いているのは、米軍基地と隣り合わせの生活から沖縄県民を解放すると約束したからだ。地元の住民たちもそれを求めている。住民たちによると、居住地区に軍事基地があることは市民にとって安全ではなく、新たな基地の建設は環境に害を与えるからだ。そのため「いうことをきかない」知事は、安倍首相に対して、米国を訪問した時に基地移設に反対する沖縄の民意を伝えるよう要請した。なお興味深いことに、同問題について米政府も不満を抱いている。米政府は、日本政府が自国民と問題を解決できないことに苛立っている。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、この状況について次のようにコメントしている。
「米軍基地の大部分が沖縄に集中している。事実上、沖縄は米軍基地の『巣』だ。米軍は長期間にわたって地元住民に不愉快な思いをさせてきた。騒音、公害、複数の米軍兵士の振る舞いなどだ。人々は、人的被害をもたらすような事故が起こることを危惧している。これに関連して沖縄では基地反対の気運が非常に高い。なおこれは反米感情ではなく、基地に反対する気運だ。鳩山氏や菅氏、その他の首相など、安倍首相の前任者たちもこの問題を解決しようとしてきた。しかし常に彼らは2つの炎の間に挟まれた。一つは、有権者との約束。2つ目は米国からの強い圧力だ。またその後、日中関係を悪化させた日本と中国の尖閣諸島をめぐる領有権問題が起こった時、状況は別の展開をみせた。これは中国の勢力拡張を抑えるために、米軍基地および米国と日本の軍事同盟自体が必要不可欠であるという更なる論拠となった。米国は係争諸島について、これらの島は日米安保条約の適用対象となると発表した。沖縄に大きな戦略的重要性が与えられた。基地の移設について話せる状況にはない…」
安倍首相は米議会での演説について、「日本が米国とともにどういう世界にしていくのかビジョンを掲げたい」と述べた。また首相は、「米国のリバランス政策と日本の積極的平和主義で、平和で安定した世界にしていく」と語っている。日本経済新聞が伝えた。しかし日本と米国が今後どのようにして中国を抑止し、どのようにして沖縄の人々と和解するのかについてのビジョンは、日本側にも米国側にもないように思われる。