以下、イワノフ大統領府長官の見解を、まとめてお伝えしたい-
「ある国では、そうした脅威が、他の国々より顕著に見られる。例えば、バルト3国やウクライナでは、ナチス支持者らが、松明や彼らのシンボルを掲げ公然と行進をしている。この事は皆が目にしている。地元権力当局が、こうした行為を見逃し、止めさせようともしない事を我々は憂慮している。
ネオナチの運動は、ロシアにもある。わが国では、そうしたグループや連中に対し、法的にも又道徳的にもしかるべき措置を講じている。必要不可欠なのは、ロシア人の大部分が、ファシズムのイデオロギーの本質について、その非人間的なイデオロギーについて、正しい知識を持つようにする事だ。そうすれば、国民には、現代のペストであるファシズムに対する免疫が出来るだろう。そうした措置は、皆が70年前に実際に起こった事を知ることができるように、真の歴史を守るためにも必要である。
ここで言うべき事がある。ロシアのネオナチは、その性格からいって本来の『ナチ』とは違っており、ロシアナショナリズムの極端な形態だという点だ。ロシア人達は彼らを軽蔑して『ナツィク(ナチク)』と呼ぶが、彼らの行動は、まず何よりも、他民族への憎悪や不寛容を土壌にしてなされる犯罪行為に関連して、マスコミでしばしば取り上げられる。
歴史的な記憶の部分的な欠落は、現代の若者が歴史に興味を持たない事、そして社会自体が若干の事実や出来事にしかるべき注意を向けないことから生じている。ここで必要なのは、歴史的真実を尊重する事だ。いかなる事実の歪曲も許してはならない。歴史の書き換えもダメだ。なぜなら偉大な多くの歴史的文書が存在しており、それらが、歴史において最も恐ろしい戦争から前向きに抜け出す中で、ソ連が鍵を握る役割を果たした事を証明しているからだ。
欧州人のほぼ60%が、ナチズムに対する軍事的勝利において決定的な役割を果たしたのは、米国と英国だと見做している事は、恥ずかしい。これは先頃、英国とフランス、ドイツで、英国の世論調査機関ICM Researchが実施した調査による数字である。
最後に皆さんの注意を喚起したい事は、ネオナチズムは、第二次世界大戦後生まれ、国家社会主義あるいはそれに近い考え方を公言する政治あるいは社会運動のイデオロギーにみられる共通した呼び名であるという事だ。ナチズムと同じように、ネオナチズムも、ある民族グループをピラミッドの頂点に据え、残りの人類に対しては弾圧的抑圧的態度を持って闘う世界観を有している。」