「日本を我々はアジア太平洋地域のLNG供給における主要なターゲット市場として捉えている。協力のあり方については、日本向けのパイプラインでのガス供給の可能性を探ったが、環境や漁業保護などの観点からこのプロジェクトは今は検討されていない。
その代わりLNGの日本への輸出は現行の契約や、日本のバイヤーが追加備蓄に表す関心に照らすと非常に大きい。」
日本の市場はその発展速度がかなり速いことから魅力が高い。メドヴェージェフ副社長は、ガスプロムが日本に提案する供給量は、「サハリン2」プロジェクトの枠内で建てられるLNGの第3工場、および「ウラジオストクLNG」工場の建設のおかげで拡大する可能性がある。「サハリン2」プロジェクトはプリトゥン=アストフスコエとルンスコエの2箇所の大陸棚の開発を念頭に入れている。「サハリン2」の第3工場は現在、ガスプロム社と外国のパートナーであるシェル、三菱、三井との間で協議が行われており、その結果は今年秋にも公表されるものと見られている。
2014年、サハリンからのLNGの販売量の内訳は日本へは79.5%、韓国へは18.9%、中国へは1.22%だった。また北朝鮮を経由した韓国向けの供給については、ガスプロム社は非常に将来性の高いプロジェクトと捉えているものの、その実現については南北朝鮮間の政治問題の解決に依存している状態だ。これについてガスプロム社のアレクサンドル・メドヴェージェフ副社長は、次のように語っている。
ガスプロム社のリソースはアジア太平洋諸国の拡大する需要を満たすに十分だ。ガスプロムは東シベリア、極東でリソースのベースを活発に広げている。サハリン大陸棚、イルクーツク州、クラスノヤルスク地方、カムチャッカ地方、サハ(ヤクート)共和国では地学探査作業が集中的に行われている。「サハリン3」プロジェクトのキリンスコエ・ガス田は2014年に産業採掘を開始したが、ここでは2015年、第3、第4、第5のボーリング施設の建設が開始される。2015年、ガスプロム社はアムール・ガス精製工場の建設に着手する。ここではヤクートおよびイルクーツクのガス採掘センターから入る天然ガスからヘリウムをはじめとする重要な成分を取り出す作業が行われる予定だ。アムール・ガス精製工場は、こうした種類の企業としてはロシアでは最大級のものになる予定。採掘と同時にガス輸送能力の拡大も図られている。