平和な宇宙に関する政府間協議は定期的に行われ、その端緒は秋に中国で開かれる。このテーマに関してはこれ以上ほかの情報はない。中国が情報交換に応じるよう、過去3年間、執拗に働きかけ続けたのは米国であることは知られている。特に宇宙機器の打ち上げや宇宙ゴミを出さない措置についての情報を米国は欲しがったが、それは中国が今から2年前、実験体制で自国の人工衛星を燃やしたことが、米国の深刻な憂慮を呼んだからだった。実際中国の出した「宇宙ゴミ」によって米国の軍事人工衛星に支障がでていたことがわかっている。
中国の宇宙プログラムは米国にとって「鬱蒼とした森」に似ている。宇宙分野の専門家であるコンスタンチン・シフコフ氏は、米中間の関心はこの分野ではかなりプログマティックなものであるため、第1段階での両国の協力はおそらくこの先橋を架けるまでにいたるだろうと予測し、次のように語っている。
「これはもちろん、中国のリソースを自国の宇宙プログラムの実現化に使うためだ。米国は全体から察するに、ロシアとの協力でも同じだが、かなりの経費がかかる宇宙の平和利用プログラムを退けるという作戦をとる。これは国際宇宙ステーションへの飛行、滞在もそうだ。重点は資金をより先端の、より将来性の高い宇宙システムに仕向けることに向けられている。特に軍事システムや火星、月の開拓だそうだ。中国は産業面で非常に強力な国家だが、技術面では米国には絶対的に劣る。米国は自国の関心のなかで中国のリソースに作用しようと試みているわけだ。」
宇宙は両国が対立する新たな局面だ。特に、中国による衛星攻撃兵器の開発、実験を背景に米国は、中国が米国の宇宙機器を撃ち落としてしまうのではないかと危惧している。一方で米国は軍事ポテンシャルを実際使った場合の効果の知るために、多くのケースでまず宇宙空間を利用している。中国が米人工衛星の破壊を狙った結果起きかねない紛争を防止するために特別に宇宙オペレーション・センターを創設しようとする米国防総省および諜報機関の計画は、ここから持ち上がっているのだ。「ディフェンス・ワン」によれば、こうしたセンターは今年、2015年末にも誕生の見込みだ。
政治学者のウラジーミル・エヴセーエフ氏は、米国防総省が中国の宇宙活動に対して危惧感を抱くことによって、中国はロシアと協同する可能性を開くことにつながると指摘し、次のように語っている。
「米国はロシアがソ連時代に獲得した開発を渡すのではないか、これが衛星攻撃兵器分野での中国の可能性を著しく増大させることにつながるのではないかと恐れている。しかもここで対象となるのは地上型、空中用とあらゆる種類の兵器だ。マイクロ人工衛星を使えば、米国の静止軌道人工衛星を取り巻き、その目をくらませることができてしまう。米国の宇宙グループに作用するほかの方法もある。このため米国は、中国が米国の安全に脅威とならぬよう、これをあらゆる手段で抑止しようとしているのだ。」
ウォーク米国防次官も毎年の特務サービスのシンポジウムの席でこれについて直接的な声明を行っている。ウォーク国防次官は、米国が宇宙でアピアレンスを持つことで中国、ロシアの2国に脅威を与えていると述べ、それに対抗するために米国防総省の新たなセンターの活動が向けられることを明らかにした。特にこのセンターは中国の動向を見守る米の人工衛星のあらゆる情報をコーディネートし、万一「スターウォーズ」が始まった場合、軍事作戦本部の役割を遂行することになる。