東北大学・流体科学研究所 附属未到エネルギー研究センターのメンバーで、 エネルギー動態研究の専門家、丸田薫(マルタ・カオル)教授のグループは、ロシアの学者達と共に、新しい省エネ技術研究に向けた有望なプロジェクトを実施する。ロ日の大型専門家グループが作業する基本的フィールドとなったのは、ロシア国立極東連邦大学の国際燃焼研究所で、その代表を務めるのはセルゲイ・ミナーエフ物理・数理学博士だ。
ラジオ・スプートニク記者は、博士にこのプロジェクトについて話を聞いた-
「世界では、エネルギーの8割が、炭化水素燃料の燃焼により生成されている。我々が開発しているのは、ガスや炭化水素燃料を燃焼させる新しいテクノロジーとその方法で、それにより燃料費を減らし、装置の効率性を高め、環境的にも受け入れられるものにする事ができる。
プロジェクトは『熱及び質量返還を伴う燃焼プロセス』と呼ばれている。例えば、自動車が、燃料エネルギーの40%しか利用していない。残りの60%は大気中に排気ガスとして放出されてしまう。一方私達の新しいテクノロジーは、この暖気を、空気あるいは再び反応させるコンポーネントを温めるために使う事が、その基礎になっている。そうすれば、本質的な節約になる。大型エネルギー装置では燃料の30%が節約できる。『熱の返還』は、自動車や飛行機のエンジンやガスタービンなど、あらゆるタイプのバーナー、つまり燃料が燃やされる至る所で、効果的に利用される事ができる。
我々の前には、さらに基本的は課題も立ちはだかっている。燃焼の限界を研究する事、つまり燃焼のプロセスを維持するために、燃料をどれだけ薄める事が可能かという課題だ。宇宙での最新の研究によれば、可燃性ガスにおいて、燃焼の中心部は動かないことが示された。それらは『炎の玉』と呼ばれている。そうした燃焼の中心は、大変希薄な混合物中に存在し得る事が分かっている。この事は、これから将来的に、熱核反応など他のシステムに応用する際に重要だ。今後、私達は、安定したエネルギー源を手にする事ができるかもしれない。」
ミナーエフ教授によれば、プロジェクトへは、学生達も積極的に参加している。彼らのために、こうした国際協力は、二倍有益だと言ってよいだろう。世界的に名のある学者達に直接接しながら学習でき、理論と実践を調和させ、見識を広げる事ができるからだ。
最後にもう一つ、スタートしたばかりのロ日プロジェクトを御紹介しよう。
極東連邦大学のプロジェクトで、クォークグルーオンプラズマ (Quark-Gluon Plasma, QGP)と中性子星の物質の特性に関する研究だ。この研究を率いているのは大阪大学の中村あつし教授で、御自身この研究について「科学への真の挑戦だ」と呼んでいる。研究実施のため、スーパーコンピューターのシュミレーションメソドが利用される。プロジェクト用のスーパーコンピューターは、すでに購入され、間もなく動き出す予定だ。